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ネットワークとCDの二刀流:

2倍の楽しさ秘めた、高音質ネットワーク機「CD-N500」

2013年09月20日 11時00分更新

文● F小林/ASCII.jp編集部

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ワイドレンジでクリア、滑らかな声の質感にうっとり

 それでは実際の音はどうだろう。今回はじっくりと試聴できる時間が確保できたので、ヤマハの「A-S700」「NS-B750」のほか、手持ちのシステムと組み合わせて様々なジャンルの音を聴いてみた。

 全体を通した印象としては、ワイドレンジで特に高域がよく伸び、クリアーなサウンドである。たとえば、ピアノ曲であれば静寂から立ち上がるアタック、弦であればピンと張り詰めたような高域。残響なども的確に拾い、録音された空間に同居しているような音場感を得られる。中低域はそれほど欲張らず、明晰で見通しがいい。同価格帯のCDプレーヤーと比較しても、完成度が高く、端正なサウンドを奏でる。

ヘッドフォンと組み合わせ、デスクサイドの音質改善も検討したい

 今回はアンプスピーカーと接続して試聴したが、ヘッドフォンアンプと組み合わせてデスクサイドに置くといった使い方ももちろん可能。写真はヤマハの「HPH-PRO500」。50mmと大口径のドライバーを使用するが折りたたみも可能でコンパクトに持ち運べる。独特な平型のケーブルは、片出しタイプで左右どちらにも接続できる。CD-N500同様ワイドレンジのサウンドなので、相性もバッチリだ!

HPH-PRO500

 CD再生とネットワーク再生の二刀流には、オーディオファンをわくわくさせる魅力もある。

 それは同じ音源をCD再生時とネットワーク再生時を同一の機器で二度楽しめるという点だ。CDそのものを再生した場合と、同じCDからリッピングしたファイルをネットワークごしに再生した際の音質の違いを聴き比べる──マニアなら一度は試したいそんなそんな気持ちに配慮して、ヤマハの開発陣はCD再生時とネットワーク再生時の音の味付けを微妙に変え、好みに応じて選べるようにしたのだ。


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 一連の試聴曲の中で印象に残ったのは、「MIKA NAKASHIMA BEST」から8曲目「FIND THE WAY」。ストリングスの序奏の後、ピアノの伴奏と一緒に女性ボーカルが歌う。ファイル再生、ディスク再生の2つの表現を比べると、異なるフォーマットに対するヤマハの考え方が見えてくる。

 まずファイル再生に関しては、ハイレゾなど音源自体の情報量が高いソースを扱う点を考慮して、ソースが持つ情報を真水のように素直に表現する狙いがあると感じられる。

 音質を言葉で表現するのは難しいが、あえて写真に例えるなら、部屋全体に光を均一にやわらかくまわして滑らかなグラデーションや、細かなニュアンスをより繊細に表現していこうとする方向感だ。絹のように滑らかなボーカルの表現、空間の広がりと調和がいい。

 対してディスク再生では、モデリングを少しコントロールして被写体を背景から浮かび上がらせたような表現になる。ファイル再生で感じた、音に満たされるような感覚やリバーブ感、空間の広さは控えめになるが、楽器それぞれの質感が描き分けられ、最も聴かせたいボーカルと、その後ろで流れる伴奏の“主従関係”が明確になる。

 ボーカルの滑らかさ、艶やかさは控えめになるが、ちょうどレタッチソフトでシャープネスのフィルターをかけたようにフォーカスは定まり、ピントがあった被写体と少しぼけた背景の差が鮮明になる印象だ。冒頭のストリングスも心なしかダイナミクスが増す。

 どちらも捉える被写体は同じだが、加工ではなく、何をよりよく見せるかのアプローチが異なると言い換えられるかもしれない。それが最終的な画の差につながっていくというイメージだ。FIND THE WAYは2003年のリリースで、10年前の曲となるが、最新のシステムで改めて試聴することで、リリース時には感じなかったソース本来の情報を再認識できるという点も新鮮だった。

 CDは過去の資産だと書いたが、1980~90年代始めのポップスやロックを無造作に現代のシステムにセットして再生すると、当時気づかなかった音のよさを改めて実感する。といった経験も何度かしている。CD-N500であればこうしたソースに改めて光を当て、将来的なデジタルオーディオへの準備を進める楽しみも提供してくれる。

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