ToneGarageミニカー説
問題は、スイッチを入れてからしばらくしないと音が出ないということでした。なにしろ真空管なので。私は、電池の消耗を気にして電源を切っていたところ、出番が来てすぐに曲が始まってしまい、すぐに音が出なくて焦るという失態をやらかしました。デジタルものに慣れているとこのザマです。
ToneGarageシリーズは、エフェクトオフで回路がリレーでスルーされる「トゥルーバイパス」と呼ばれる設計です。これはエフェクトを使わないときの音質劣化を回避するためですが、その代わり電子スイッチと違ってオン・オフで若干ノイズが入ってしまう。ただ、これは踏むタイミングでカバーできる範囲で、私には気になりませんでした。
さて、一度ステージを共にした楽器には、その信頼関係から愛着がわくものと言います。私はそういう感情を抱くことはほとんど無いのですが、このFLAT 4の外観は、なかなかグッと来ます。
ダイキャストの筐体に、ヌメッとした光沢のペイント。そして真空管をカバーするキャノピーと呼ばれる透明な樹脂。これって、まんま「ミニカー」の要素なんじゃないか。ミニカーもキャストで作られ、その上からペイントを施され、ウインドスクリーンは透明樹脂です。ToneGarageシリーズの名前は、みんなエンジンや車輪の付いた乗り物だし。
そう考え始めた途端、子供の頃、ミニカーを集めていた感覚が蘇ってくるのを感じまして、気が付くと、2つ増えていました。
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著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。