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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第5回

動画数130万の最大勢力&公式が実況OKに踏み切った「テラリア」タグを解説

ニコニコ動画の10%超を「実況プレイ動画」が占めている

2013年07月18日 11時00分更新

文● myrmecoleon

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この連載では、独自に収集したデータを使って、みんな知ってるようで知らないニコニコ動画の現在を紹介していきます。第5回は、もはや投稿数の1割以上を占めるまでに至った「実況プレイ動画」タグを取り上げます。連載一覧はこちら

筆者紹介:myrmecoleon

 明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β幹事。趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。記事に使ったデータ元の『ニコニコ統計データハンドブック2013』など同人誌をコミケで頒布。ブロマガでは連載記事の補足も。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった近著に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)。右の画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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ニコ動最大のジャンル「実況プレイ動画」

 「実況プレイ動画」は投稿者が実況しながらゲームをプレイしている様子を収めた動画に付けられるタグで、もっぱら「ゲーム」カテゴリの動画に付けられます。

 現在までに約130万の動画(ニコ動全体の1割以上)がこのタグで投稿されており、「ゲーム」タグに次ぐ第二の投稿数のタグです。動画の具体的な内容を示すタグとしては最大のものと言えるでしょう。

 タグの動画の特徴としてはコメント率が高い傾向がありますが、これは動画時間が平均22分と長いことの影響が強いです。再生数の中央値は174と低く、1万再生以上が2.8%、上位0.15%の投稿者の動画に全体の再生数の半数が集中と非常に偏っています。

「実況プレイ動画」タグの基本データ
合計 中央値 参考:全体の中央値
再生数 25億8292万2000 174 526
コメント数 3億2674万1100 25 20
マイリスト登録数 1700万7710 2 3
コメント率 - 12.07% 3.54%
マイリスト率 - 0.95% 0.87%
「実況プレイ動画」タグの投稿者データ(公開ユーザーのみ)
プレミアム会員の比率 57.16%
女性の比率 18.44%
国外からの動画投稿者の比率 2.77%
平均年齢 24.2歳

※コメント率・マイリスト率はそれぞれコメント数・マイリスト登録数を再生数で割った値。拙著同人誌『ニコニコ動画統計データハンドブック2013』より抜粋。2012年12月上旬調査時点の値。

 一人あたりの投稿動画数が多い傾向があり(シリーズもの等)、これまでの投稿者の総数は約4万名。平均年齢は約24歳。女性が約2割いる一方、海外からの投稿者はあまりいません。またプレミアム会員が多いタグです。投稿者の増加は2010年3月をピークに落ち込んでいましたが、近年再び加速しています。現在は月に3万弱の動画と800名前後の投稿者が増えています。

動画投稿数は左軸、新規投稿者数は右軸。2008年頃から急激に増加、2010年はじめをピークに一旦落ちたが近年また増加傾向にある。なお例年3月頃に投稿者が増える傾向があり、学生の冬休みや進学と関連していると思われる

 こうした動画自体はニコ動初期からもありましたが、2008年からよく投稿されるようになりました。プレイされるゲームはさまざまですが、定番の作品やシリーズが継続的にプレイされている様子があります。2008年頃はバイオハザードや零といったホラーゲームをプレイする傾向が強かったようです。

 一方でモンハンやゼルダ、テイルズ、ポケモンといった人気ゲームもよくプレイされており、2010年頃はこうしたゲームが上位になっています。近年は2011年に流行した青鬼や2012年のIbといったフリーゲーム、あるいはMinecraftのようにゲーム映像の使用が許可された作品の動画が増えてきているようです。

現時点で視聴できる実況プレイ動画タグの動画について、各年の前後半ごとに多かったゲーム名のタグを順に並べたもの。複数のゲームの総称であるタグと個別名のタグが混在している点に注意。一般の商用ゲームはオレンジ、フリーゲームは紫、インディーゲームを青で塗ってある

 ゲーム映像の動画での使用はゲーム会社の著作権に抵触し、しばしばトラブルを引き起こしてきました。一方で実況プレイ動画の魅力は映像そのものよりも投稿者たちのトークにあるところもあり、近年は女性人気の高いアイドル化した投稿者もしばしば現れています。

 こうした側面からか、アリカの「怒首領蜂 大往生」やスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストX」のように、一部のゲームで動画での使用を認めるゲーム会社が現れたり、そうした許可の出しやすい個人制作のフリーゲームに人気が集まっている点が興味深いところです。

2012年前半から後半にかけて人気の高かったフリーホラーゲーム『Ib』の代表的な実況プレイ動画。投稿者はレトルト氏。Ibでは公式にガイドラインを設けてプレイ動画の投稿や二次創作を認めている

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