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時代と共に成長する「DataONTAP」大解剖 第4回

オールフラッシュストレージの導入でますます用途は拡がる

ネットアップ、適材適所のフラッシュ活用について語る

2013年06月18日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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特殊用途で用いられる2つのオールフラッシュストレージ

 汎用の共有ストレージで用いられるFASに対し、性能を重視した特殊用途で用いられるのがオールフラッシュストレージになる。ネットアップは、その第一弾として「EF540」を提供する。

オールフラッシュストレージ「EF540」

 EF540はLSIロジックから買収したエンジニオ(Engenio)のRAID製品をベースにしたオールフラッシュストレージだ。高機能なOSを搭載するFASに対して、Eシリーズはシンプルなディスクアレイ装置。しかし、「SANtricity」という使いやすい管理ツールや卓越したデータ保護、オンライン拡張などの機能を持つ。「ディスクベースの製品から含めグローバルで50万台以上が稼働している」(河西氏)という実績も大きい。

 数多くの新興ベンダーがひしめくオールフラッシュストレージの分野だが、ネットアップのEF540は1ミリ秒未満のレイテンシで30万以上というIOPSを実現している。しかし、「重要なのは一定の容量を確保し、なおかつパフォーマンスが安定していること」(河西氏)だという。速いだけではなく、負荷に左右されないI/Oが重要というわけだ。その点、EF540は最大6GB/秒という安定したパフォーマンスが評価されており、容量に関しても2Uで最大24ドライブ収容できる。「800GBのSSDを使うので最大19.2TB。エンタープライズの要件を十分に満たす」(河西氏)。おもにデータベースアプリケーションに最適だという。

 そして、現在開発中のオールフラッシュストレージが「FlashRay」だ。FlashRayの開発においては、DataONTAPに続くフラッシュ専用のOSを開発し、パフォーマンスだけではなく、ストレージ効率やエンタープライズクラス容量、拡張性を追求する。製品の一番のポイントはデータをどのように書くか。河西氏は、「フラッシュは書き込む回数が多いと寿命が短くなる。パフォーマンスだけではなく、耐久性という観点でも書き込むデータは少ない方がよい。そのため、重複排除や圧縮などで書き込むデータ自体を減らす」と述べる。

フラッシュ製品の過去、現在、そして未来

 河西氏が強調したのが、FlashRayの開発においてはイチからではなく、DataONTAPでの実績やノウハウも集大成していくということだ。「今までディスクスピンドルに対して有効だった機能を、フラッシュにも提供していくという思想」(河西氏)とのこと。また、低速なHDDを束ねつつ、データ保護や性能を担保してきたというそもそものネットアップの根本理念がフラッシュにも活かされるという。「デバイスの持つ特性を最大限に利用する。高品質なフラッシュを使うときだけではなく、コンシューマ向けの安価なフラッシュを使っても、パフォーマンスや長期の書き込みをサポートできるように設計している」(河西氏)とのことで、完成度の高い製品に仕上げるという。来年予定されている製品出荷が楽しみだ。

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