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データサイエンティストにいつなるか? 今でしょ!

2013年06月14日 16時00分更新

文● 今村知子/アスキークラウド編集部

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 もう一人、エンジニア出身の千田玲子さんは、金融系企業のプログラマ、ECサービス企業のウェブアプリ開発といった経歴からの転職組だ。当時の仕事のなかでもデータを扱うのが好きだったという感覚はあったが、その頃はサマリーレベルのレポートを作る程度で、専門の部署でなければ本格的な分析はしていなかったという。

千田玲子さん

大学時代は数学科だったが、「当時の知識はもう忘れました(笑)」。ただ、データを使うのは好きで得意だと感じたという千田玲子さん。


「もったいない、もっとデータをうまく扱えれば、問題が解決できるんじゃないだろうか……」と思うことも多く、その後、結婚などの自身のライフイベントの変化を経て、データサイエンティストの道へ。

「最初の頃はビッグデータに対して、一過性のバズワード的扱いで考えていました。それがよく調べてみると、データサイエンティストというのは華やかな職業ではなくて、もっと泥臭い地道な仕事だとわかった。コツコツやるのが向いている、私の性格に合っている。自分が活きる領域がこの職業にある、と感じました」

人事からデータサイエンティストへと転身した例も

 3人目の齋藤麻衣子さんは、人事系のキャリアからの転身だ。もっとも、大学院時代には生態系研究室で統計を学んだ経験がある。とはいえ、その経験を就職に直接活かすことはせず、卒業後はずっと人事、コンサル系の仕事を続けた。

「ただ、人事といっても人事評価や採用、市場動向調査などで、ある程度データを扱う作業があって、私は理系出身だからとデータ系の担当になることが多かった」という。当時勤めていたメーカーは、データ主義の会社でもあり、データで会社に貢献しようという思いもあった。そうしてやっているうちに、「面白くなってきたんです」

 3人に共通するのは、前職では本格的なデータ分析の経験がない、つまり分析ソフトを使っていたり、専門の言語を習得していたわけではないという点だ。

 千田さんと齋藤さんの場合は、学生時代にそれぞれ数学科、統計の研究室で学んだという経験があり、今村さんもデータ分析につながる研究が原体験になっている。しかし、学生時代の研究が今のデータ分析に活きているかと尋ねると、全員が「直接は関係ない」と答えた。

齋藤さん

齋藤麻衣子さんは今後留学し、日本が10年遅れていると言われるデータサイエンスを海外で本格的に学ぶ予定だという。


「ただ概念的なところで、学生時代の統計学の知識は活きているので、そういう意味でこの仕事に入りやすいというのはありますね」と語る齋藤さん。千田さんも「必要なスキルは多種に渡り、その中で自分の強みを見つけることが大事です。全員が難しい数学を駆使しているわけではありません。ただ、考え方とか思想とかで学んだ経験が活きているかもしれません」という。

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