Bay TrailはWindows 8とAndroidに対応
かつ高セキリュティーエンジンを併せ持つ
そのBay Trailだが、IDFのテクニカルセッションでも細かな中身は一切公開されていないままである。
IDFにおいて上のブロック図が公開されたが、ここに含まれる要素はClover Trailのそれとほとんどど差がない。これまでに判明した情報を要約すると以下の4つだ。
- ベースは22nmプロセスの、新しいマイクロアーキテクチャのAtomコアを最大4コア
- より高いセキュリティーエンジンを搭載
- 高いI/O能力
- Windows 8とAndroidに対応
セキュリティーエンジンは後述するとして、最後のWindows 8とAndroidに対応という項目は、「他のOSが動かない」という意味ではなく、「インテルからWindows 8とAndroidのBSP(Board Support Package)を出します」という意味と思われる。
BSPは、「あるOSを動かすために必要なドライバーやライブラリ、ランタイムなどのソフトウェア一式を丸ごとパッケージにしたもの」である。普通のPCでは“標準的”なハードウェアの構成は決まっているため、こうしたものはWindowsやMac OSといったOS側に標準で搭載されている。
例えばWindowsならHAL(Hardware Abstraction Layer)のドライバーや、デバイスマネージャーで「システムデバイス」として並んでいるドライバーがこれに相当する。
ところがタブレットやスマートフォンではこうした標準的な構成そのものがない。そこでOSベンダーではなく、チップ側のベンダーがOSにあわせてそれぞれのBSPを提供することになる。インテルもWindows 8とAndroidについて、このBSPを提供することを明らかにしたということである。
ちなみに、BSPはOSのバージョンごとに異なるので、Android 4.0と4.1ではBSPそのものが異なる。インテルがAndroidのどのバージョン向けのBSPを提供するのかは、まだ不明だ。
上の画像は、はBay Trailの特徴をもう少し並べたものである。この中でも“Internet surfing, social networking”といった部分がセキュリティーエンジンの特徴となる。
もともとClover Trailにも“Secutiry Programmable Execution Environment and Crypto Engine”(秘匿された安全な実行環境と暗号/復号化エンジン)と呼ばれるモジュールが入っている。これを使うことで、検証されたブートROMからのみブートする、またブート中にトロイの木馬などのウィルスを混入させないなどといったセキュアブートや、データの暗号化/復号化のサポートは行なわれていた。
Bay Trailでは、このデータの暗号化/復号化の機能を強化したようだ。具体的な項目ははっきりしないが、「インターネットサーフィンやソーシャルネットワーク向け」という表現からすると、ウェブで広く使われているSSL(Secure Socket Layer)の暗号化アクセラレーターの機能を追加したのではないかと予想する。
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