Haswellでのオーバークロック設定は
やや難しくなった?
テクニカルセッションの中で、“Enhancing the Overclocking Experience on Intel Enthusiast Desktop and Mobile Platforms”というセッションがあった。これは文字通り、オーバークロック動作をさせるにはどんな設定が必要かを説明するもので、「Core i7-3770K」を6.5GHz動作させるライブデモもあったようだ。このセッションの中でHaswellに関する話がいくつかあったので、紹介しよう。
まずBCLK(Base Clock)周り。Sandy Bridge/Ivy Bridgeの場合、CPU内部の動作そのものはBCLKと呼ばれる周波数に同期する形で、あとはCPU内部で倍率を変更できるだけだが、その構成そのものはHaswellでも変わらない。ただ、DMI/PEGの倍率を変えられるようになったほか、最大倍率や耐えられる動作周波数がやや引き上げられた。
なお、BCLKはZ68あたりまで使われていた用語で、現在はDMICLKと呼ばれている。オーバークロックにあたって、CPUの倍率ではなくBCLKを上げると、それに応じてグラフィックスやメモリーの動作周波数も自動的に上がることになる。
そのBCLKの特性を比較したのが下の画像であるが、ことオーバークロックに関しては、Sandy Bridge-Eに搭載された特徴に近い。
具体的にどのように動作するかを示したのがこの下の画像である。PEG/DMI比として5:3/5:4/5:5の3種類を設定可能なので、例えばオーバークロック動作の結果としてPCI Expressの先のデバイスが動作しにくくなるケースでは、PEG/DMIの比を変えることでPCI Expressの動作周波数を落とせるというわけだ。
さすがにメモリークロックまで独立させるわけにはいかないようで、このあたりは引き続き連動となる。ただDDR3世代で2000MHzを超えるメモリーを普通に入手できるようになったため、BCLKを引き上げても倍率変更でカバーできる余地が多く、以前ほど障害にならないはずだ。
また電圧制御に関しては、ついにオンチップで電圧レギュレーターを搭載したことを明らかにした。また、メモリーコントローラー用のVDDQと、それ以外すべて用のVCCINの2種類の電圧を供給し、あとは内部のiVRがそれぞれの用途に応じた電圧を生成する。
しかし、以前のように無理やり高い電圧をかけてオーバークロックさせる方法はやりにくくなった。内部の各コンポーネントに供給される電圧はiVRの設定で決まるので、あまり無理に電圧をかけるとiVR破損の恐れが出てくるからだ。これはオーバークロックにはややマイナスであろう。
さて、今回はIvy BridgeとHaswellだけで終わってしまったので、22nm Atomベースの製品ロードマップなど、続きは次回へ持ち越しとさせていただく。
この連載の記事
-
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ