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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第199回

IDFで判明したHaswellのグラフィック性能とオーバークロック

2013年04月22日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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Haswellでのオーバークロック設定は
やや難しくなった?

 テクニカルセッションの中で、“Enhancing the Overclocking Experience on Intel Enthusiast Desktop and Mobile Platforms”というセッションがあった。これは文字通り、オーバークロック動作をさせるにはどんな設定が必要かを説明するもので、「Core i7-3770K」を6.5GHz動作させるライブデモもあったようだ。このセッションの中でHaswellに関する話がいくつかあったので、紹介しよう。

「Core i7-3770K」を6.5GHz動作させるライブデモ。液体窒素を注ぎながらのオーバークロックである

 まずBCLK(Base Clock)周り。Sandy Bridge/Ivy Bridgeの場合、CPU内部の動作そのものはBCLKと呼ばれる周波数に同期する形で、あとはCPU内部で倍率を変更できるだけだが、その構成そのものはHaswellでも変わらない。ただ、DMI/PEGの倍率を変えられるようになったほか、最大倍率や耐えられる動作周波数がやや引き上げられた。

Ivy Bridgeの構成図。動作周波数の設定は、CPU内部で倍率を変更できるだけだ

Haswellの構成図。CPUコアは最大80倍(8GHz)まで、GPUコアは最大60倍(3GHz)まで設定可能。メモリコントローラーも2.933GHzまで動作する

 なお、BCLKはZ68あたりまで使われていた用語で、現在はDMICLKと呼ばれている。オーバークロックにあたって、CPUの倍率ではなくBCLKを上げると、それに応じてグラフィックスやメモリーの動作周波数も自動的に上がることになる。

 そのBCLKの特性を比較したのが下の画像であるが、ことオーバークロックに関しては、Sandy Bridge-Eに搭載された特徴に近い。

BCLKの性能比較表。Haswellは、100MHz以外に125/167MHzに対応したので、オーバークロックの際にGPUが動作しなくなるのは避けやすい

 具体的にどのように動作するかを示したのがこの下の画像である。PEG/DMI比として5:3/5:4/5:5の3種類を設定可能なので、例えばオーバークロック動作の結果としてPCI Expressの先のデバイスが動作しにくくなるケースでは、PEG/DMIの比を変えることでPCI Expressの動作周波数を落とせるというわけだ。

Haswellの動作周波数構造

 さすがにメモリークロックまで独立させるわけにはいかないようで、このあたりは引き続き連動となる。ただDDR3世代で2000MHzを超えるメモリーを普通に入手できるようになったため、BCLKを引き上げても倍率変更でカバーできる余地が多く、以前ほど障害にならないはずだ。

 また電圧制御に関しては、ついにオンチップで電圧レギュレーターを搭載したことを明らかにした。また、メモリーコントローラー用のVDDQと、それ以外すべて用のVCCINの2種類の電圧を供給し、あとは内部のiVRがそれぞれの用途に応じた電圧を生成する。

Haswellは、オンチップで電圧レギュレーターを搭載することで、負荷に応じた電圧変更が従来よりも高速になる。これはもっぱらTurbo Boostにおける応答性改善に効果的である

Haswellの電圧構造。メモリーコントローラー用のVDDQと、それ以外すべて用のVCCINの2種類の電圧を供給し、あとは内部のiVRがそれぞれの用途に応じた電圧を生成する

 しかし、以前のように無理やり高い電圧をかけてオーバークロックさせる方法はやりにくくなった。内部の各コンポーネントに供給される電圧はiVRの設定で決まるので、あまり無理に電圧をかけるとiVR破損の恐れが出てくるからだ。これはオーバークロックにはややマイナスであろう。

 さて、今回はIvy BridgeとHaswellだけで終わってしまったので、22nm Atomベースの製品ロードマップなど、続きは次回へ持ち越しとさせていただく。

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