ラインナップ豊富な
SiS630シリーズ
上図がSiS630から展開するファミリーの図である。このSiS630回りのファミリー図は以前連載53回でも示しているが、修正があるので今回描き直した。一番違うのがSiS630のリリース日付で、以前の図だと1999年5月に発表になっているが、今回の図では2000年の1月になっている。この8ヵ月のズレについては後述する。
SiS630に続いて最初に投入されたのが「SiS630E」である。こちらはSiS630からADIMMのサポートを減らした廉価版だ。元々SiS630は、SiS301もしくはFBC(Frame Buffer Cache)を接続できるようになっている。
SiS301は、セカンドディスプレーやテレビ(NTSC/PAL)出力、Panel Link経由での液晶出力などを可能にするビデオブリッジであるが、これとは別にローカルフレームバッファのキャッシュ(FMC)として64bit/133MHzのSDRAMを接続できた。要するにUMA方式でメインメモリーとグラフィック用のフレームバッファを共用すると遅くなるので、別にフレームバッファ専用メモリーを搭載できるというものだ。
実際のマザーボードの場合、AGPスロットを前後逆にした配置のスロットが1本用意され、ここにSiS301カードを挿すか、ADIMMと呼ばれるSDRAMを搭載したカードを挿せた。このADIMMを挿すと、そのメモリーがFMCとして活用される仕組みだ。ただし当然コストは増えるわけで、低価格向けのSiS630ではほとんど利用されなかったので、あっさり廃止された。
次が2000年10月に投入された「SiS630S」で、こちらは外部AGPポートが復活したバージョン。SiS630はAGPがなかったので内蔵グラフィックしか使えなかったのだが、このグラフィックの性能が芳しくないうえ、ライバルのIntel 810もやはりAGPを廃しており、これに対する不満が多かったため、差別化のために急遽追加したものだ。
またサウスブリッジにも若干の変更がある。このSiS630Sに、Tualatin向けの対応を施したのが「SiS630ST」で、同時期にSiS630EについてもTualatin対応の「SiS630ET」が追加されている。
このSiS630Sをベースに、内部のノースブリッジとサウスブリッジの接続を、従来のPCIから独自のMuTIOL(Multi-Thread I/O Linkの略)に切り替えたのが「SiS633」だ。このSiS633にDDR-SDRAMのサポートを追加したのが2000年11月にリリースされた「SiS635」である。ちなみにSiS633/SiS635ともに、Tualatinのリリースに対応してそれぞれ「SiS633T/SiS635T」が追加されている。
SiS630ファミリーはこれに留まらない。時期的にはやや前後するのだが、SiS630Sをベースに、FSBをインテルのP6 BusからAMDのEV6に切り替えた「SiS730」が2000年8月にリリースされている。このSiS730から266MHz FSBのサポートを減らしたDuron向けとして「SiS730SE」を2001年3月に、SiS730Sの内部バスをMuTIOLに切り替えた「SiS733」を2001年4月に、DDR-SDRAM対応にした「SiS735」を2001年6月にそれぞれリリースしている。
ロードマップの図では分離して記したが、おそらくSiS633とSiS733、SiS635とSiS735はそれぞれ同時に開発されており、FSB部分のみ異なるが、あとは完全に一緒という形で作業が行なわれたと思われる。
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