スピーカーはブックシェルフ型を用意
スピーカーは同じデノンの「SC-CX101」(実売価格4万8000円前後)を選んだ。小さめのブックシェルフ型の2ウェイスピーカーで、ウーファーは13cm、ソフトドームトゥイーターは25mmとなっている。
エンクロージャーを高密度板材の突き板仕上げとするなど、比較的安価なモデルながらも、しっかりとした造りとなったモデル。スピーカー端子はバイワイヤリングにも対応しているので、AVアンプを組み合わせて使うならば、ぜひとも音質的に有利なバイアンプ駆動も試してみたい。
スピーカーが大きくなると音の奥行き感も違う!
では、さっそく聴いてみよう。その音はさすがに立派なもので、満足度はかなり高くなる。予算という点でも倍近くなっているので当たり前とも言えるのだが、最大出力140Wと十分以上の出力のアンプと、スピーカーのサイズも大きくなっているため、余裕のある鳴り方になる。もちろん、スピーカーの配置もぐっと広げているので、スピーカーの間に浮かぶ音場イメージもさらに見晴らしがよくなっている。
きめ細かさや力強く音楽を盛り上げるパワー感はあるのに、耳当たりがソフトで聴きやすいのはスピーカーの個性と言えるだろう。ボーカルやコーラスもしっかりと定位し、表情豊かに再現される。バックでリズムを刻むドラムもぐっと奥に定位し、3次元的な奥行きのあるステージが広がる。
ステージ感のよさでは「8人のチェリストによる「くるみ割り人形」「白鳥の湖」が白眉だ。8本のチェロの配置がわかるくらい明瞭に音像が浮かび上がる。余裕のある低音再現は量感たっぷりなのに、低音パートの音階もしっかりと再現し、芯のある音色を聴かせてくれた。
聴き心地のよいしなやかな再現もあって、ずっと音楽を聴いていたくなる。もちろん、これよりももっと音のいい組み合わせはあるし、音の再現もいろいろな方向性はある。とはいえ、これならば自分の家に置いて好きな音楽を快適に楽しむには十分な実力と感じる。予算に余裕があるならば、あるいは個室ではなくリビングで家族と一緒にいい音を楽しみたいというならば、このくらいの投資をした方がきっと幸せになれると思う。
最後に、ベルリン・フィルのチェロとコントラバスの奏者による「奇跡のデュオ」(HQM STOREで販売中、FLAC 24bit/96kHz 3150円 FLAC 24bit/192kHz 3465円)を聴いてみた。
「くるみ割り人形」でのチェロによる低音パートもなかなかに低音感が豊かで朗々としていたが、さらにサイズの大きいコントラバスは、さらに雄大で重量感のある音を響かせる。さすがにこの低音域はブックシェルフ型では伸びが足りなくなるが、身体を震わせるような音色は十分に味わえる。音楽を全身で感じるような聴こえ方はスピーカーで実際に音を出す再生ならではだ。
秋の夜長はハイレゾ音源でより豊かな音楽を味わおう!
さまざまな機材を使ってハイレゾ音源を聴いてみたが、その音はいずれも満足度の高いものだった。おそらくは、「CDや圧縮音源をより高音質で~」というアプローチだったとしたら、同じシステムでもここまでの満足感は味わえなかっただろう。
やはりCDの何倍もの情報量を持つハイレゾ音源だからこそのものだと思う。逆に言えば、PCを中心に比較的手軽な予算のシステムを組んだだけでも、かなりのレベルの音が楽しめるということだ。音楽好きという人ならば、ハイレゾ音源にはぜひ注目してほしい。
もちろん、大手レーベルやメジャーなアーチストのヒット曲が登場するようになるにはまだ時間がかかるだろうが、きっとタイトルはより充実してくるものと思われる。
また、今回珍しくクラシック曲が多いが、ハイレゾ音源にクラシックやジャズが多いというだけでなく、ハイレゾ音源だと意外にクラシックを楽しく聴けてしまうのだ。
オーディオライター的には「バイオリンの弦の艶ってこういうことか」と勉強になるし、旋律の美しさや楽曲による編成の妙など、いろいろなことがわかって聴くのが楽しい。クラシックが苦手という人はまずは自分の知っている曲を探して、苦手意識を克服してほしい。
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