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Dreamforce 2012レポート 第2回

Salesforce Touch Platformなどを発表

目的は企業のレベルアップ!Dreamforce CEO基調講演

2012年09月20日 11時00分更新

文● 大河原克行

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 米セールスフォース・ドットコムのDreamforce 2012が、9月19日から、米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・コンベンションセンターで開幕した。

Dreamforce 2012の基調講演は、MCハマーによるダンスパフォーマンスで始まった

 オープニングを飾ったのは、米国時間の同日午前9時(米国時間)から行なわれた米セールスフォース・ドットコムの会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏による基調講演だ。

 MCハマーによるダンスパフォーマンスのあとに登場したベニオフ会長兼CEOは、講演の冒頭に例年通り、スクリーンに「THANK YOU」の文字を表示。「10回目を迎えたDreamforceは、ベンダー主体のイベントとしては、世界最大規模になった。これはみなさんのおかげである。2013年の売上高で30億ドルに達することができる。まずは、セールスフォース・ドットコムをサポートしてくれているみなさんに感謝の気持ちを伝えたい」と切り出した。

例年通り、「THANK YOU」の文字を映し出したスクリーンを前に米セールスフォース・ドットコムの会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏が登壇

 続けて、「私は、13年前から、世界中でクラウドの時代が訪れるということを伝えてきたが、その時代がやってきた。モバイルコンピューティングはスティーブ・ジョブズが牽引したビジョンであり、いまやその先にあるソーシャル革命が起こっている。安価で、使いやすいものが登場し、世界や社会を大きく変えている」と語った。

 そして、ベニオフ会長兼CEOは、「セールスフォース・ドットコムは、5年前に自分たちが変わらなくてはならないと考え、大きな変化へと乗り出した。それはソーシャルへのフォーカスであった。そして、それまでは、顧客の成功がもっとも大切だと考えてきたが、新たな時代で成功するには、ユーザーに信用してもらえる会社であり、オープンであり、速く動くことができる会社でなくてはならないと考えた。いまやセールスフォース・ドットコムは、ソーシャル革命を起こし、業界を次のレベルにあげていくことができる会社である」などとし、「Dreamforceの目的は、みなさんの会社を変えること、そして、みなさんの会社を次のレベルに引き上げることである」などと参加者にこのイベントの意義を訴えかけた。

 また、企業の変革のためには、「Sell」、「Service」、「Market」、「Collaboration」、「Work」、「Innovate」の6つの要素が大切であるとし、コカ・コーラやFacebookなど、それぞれの観点における数々のユーザー事例を紹介。ユーザー企業の代表者が壇上にあがったり、ベニオフ氏によるインタビュー形式を用いながら、同社製品を活用した具体的な変革の成果を紹介した。

「Sell」、「Service」、「Market」、「Collaboration」、「Work」、「Innovate」について、それぞれの事例を紹介

 今回の基調講演では、これらの事例紹介を通じて、いくつかの新たな製品を発表した。その1つが、「Salesforce Marketing Cloud」である。

 Salesforce Marketing Cloudは、Buddy MediaとRadian6を結合し、ソーシャルリスニングから、コンテンツ、エンゲージメント、広告、ワークフローの自動化と効果測定までを統合した初のスイートだ。オーストラリアのCommonwealthBankが取り組んだ企業変革の事例を示しながら、Marketing Cloudによって、ソーシャルマーケティング活動を管理し、iPhoneを通じた支払いや24時間の顧客対応などを実現している例を紹介した。

 続いて、「Salesforce Chatter Box」を発表。ここではVirgin Americaの導入事例を通じて、あらゆるデバイス間において、シンプルで、セキュアなファイル共有を実現している例を示した。

 さらに、ソーシャルパフォーマンス管理プラットフォームとする「Salesforce Work.com」では、Facebookでの人事部門での導入事例を通じて、ソーシャル上で設定した目標に基づいて従業員の意識の統一を図り、日々の働きをリアルタイムに認知し、それに伴い報奨を与える仕組みを紹介。社員のモチベーションを高めるとともに、継続的なフィードバックと的確な評価によってパフォーマンスの向上を促進できるとした。

新たな製品として発表された「Salesforce Work.com」

 そして、エンタープライズ・クラウドプラットフォームである「Salesforce Platform」の新たなテクノロジーとして、

  • Salesforce Identity
  • Salesforce Touch Platform

を発表した。Salesforce Identityは「企業のためのFacebook式のID」を提供するとし、信頼性の高い単一のソーシャルIDによって、すべてのクラウドアプリケーションへのアクセスを実現し、一元的にIDを管理できるという。また、「Salesforce Touch Platformを使ってもらうと、一度アプリケーションを書けば、どんなデバイスでも利用できるようになる。Salesforceのプラットフォームへの投資を無駄にすることなく、モバイルデバイスに展開できるようになる」(米セールスフォース・ドットコムのジョージ・フーCOO)とした。

1つのアプリケーションがタブレット端末でも利用可能になる「Salesforce Touch Platform」

 そのほか、企業と代理店、リセラー、サプライヤなどの取引先をつなぎ、商談データのシームレスな登録、実証済みのさまざまなツールへのアクセスなどを通じて、売り上げの促進に寄与する「Salesforce Chatter Communities for Partners」、ソーシャルネットワークからの最良のコンテキストと従来の企業データを組み合わせることで、これまで以上に強い顧客関係を築き、より多くの商談時間の確保と、より短時間での契約に結び付けることが可能になる「Data.com Social Key」、Service Cloudと統合し、プライベート・ソーシャルコミュニティにおいて、他のユーザーや企業内エキスパートと直接コミュニケーションを図れる場を提供する「Chatter Communities for Service」を発表した。

 ベニオフ会長兼CEOは、ガートナーの「2017年にはCIOより、CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)のほうがITに関心を寄せるようになる」との予測を示しながら、これらの製品がCMOに対して、将来の方向性を提案をするものであることを強調。最後に、「今回の講演では、『ビジネスはソーシャル』であると言ってきた。どのように顧客やパートナー、社員や製品とつなげるかといったことを紹介してきた。変化するためには何が必要か、新たなレベルにいくためにはどうすればよいかを話してきた」と語り、約3時間に渡る長い基調講演を締めくくった。

今年も多くの製品が加わった、Salesforceの新たな製品体系

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