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Dreamforce '11レポート 第3回

Dreamforce基調講演2日目

ソーシャルエンタープライズ構築にはソーシャルな環境で

2011年09月06日 06時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

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 9月1日(米国時間)、セールスフォース・ドットコム「Dreamforce '11」基調講演2日目は、予告通りプラットフォーム関連の発表が行なわれた。

2日目の基調講演は、ソーシャルエンタープライズのプラットフォームについてだ

 Dreamforce '11の1日目の基調講演では、CEOのマーク・ベニオフ氏がアプリケーションのソーシャル化について語ったが、アプリケーションを運用するにはそれを動作させるプラットフォームが必要となる。セールスフォースにとってのプラットフォームとは、各企業がデータセンターにサーバーを設置して構築する環境ではなく、クラウド上でのアプリケーション実行環境「PaaS(Platform as a Service)」とそれを支えるデータベースなどのバックエンドサービスである。

 2日目の基調講演でベニオフ氏が力説したのは、このプラットフォームの重要性だ。ソーシャルメディアの世界的な代表であるFacebookは、なぜ成功しているのか。それは、コミュニティや写真の共有ができるためだけではなく、Facebook上で動作する55万ものアプリケーションがあるからだとう。

 「では、次世代のエンタープライズアプリをどのように作るのか」(ベニオフ氏)。同氏は、BEAのWebLogic、IBMのDB2やWebSphere、Lotus Notesなど、現在広く使われているデータベースやアプリケーションサーバー製品の名を挙げた上で、こうした古いプラットフォームではなく新しいプラットフォームが必要だとした。

 既存のプラットフォームと新しいプラットフォームの違いが、ソーシャルな機能となる。

 セールスフォースのプラットフォームには、バックエンドの「Data.com」と「Database.com」、アプリケーション実行環境「Force.com」と「Heroku」などで構成されるが、それはすべてソーシャルな機能を搭載するのだ。

 Data.comは、2010年に同社が買収した米Jigsawの同名のサービスを名称変更したものだ。企業や企業に属する従業員の名簿(氏名や所属企業名、肩書き、連絡先など)のデータベースサービスで、そのデータをサービスのユーザー自らが登録しあっているのが特徴である。ソーシャルなプラットフォームを構築するための基本となる、ユーザーの情報(ソーシャルプロファイル)を提供するサービスというわけだ。

 もっとも、旧Jigsaw時代から日本国内ではサービスの提供は行なわれていない。Data.comとなったこれからも、すぐに日本対応はとは行かないようだ。

 Database.comは、昨年のDreamforce 2010で発表されたオンラインデータベースサービスだ。セールスフォース内部で長らく使われてきたデータベースを独立したサービスにしたもので、この際は、さまざまな開発言語に対応し、他社のクラウドサービスからも利用できる「100%オープンなデータベース」と紹介されている。一方、今年強調されたのは、「ソーシャルなデータベース」である点だ。ソーシャルエンタープライズでは、ソーシャルプロフィールが重要となるが、これまでのデータベースはソーシャルテクノロジーが登場する前の技術を使っている。しかし、ソーシャルプロフィールを扱うには、「データベースもまたソーシャルに生まれ変わらなければならない」(米セールスフォース・ドットコム代表取締役副社長ジョージ・フー(George Hu)氏)からだ。

昨年発表のDatabase.comは、「ソーシャルなデータベース」となった

 前述のFacebookは、アプリケーションを動作させるためのAPIを公開しているが、このAPIは単に画面を動かしたり演算処理を行なうだけでなく、アプリケーションのユーザーがFacebookに登録したプロフィール、ユーザーの交友関係(ソーシャルグラフ)といった情報にアクセスできる。こうしたAPIを一般に「ソーシャルAPI」と呼ぶ。

ワーナー・ブラザーズは、Facebook上でハリーポッターの映画を販売する。もちろん、購入手続きだけでなく、視聴もここから行なえる。コミュニティーや写真共有、フラッシュベースのゲームなどではなく、こうしたアプリケーションまで動くのがFacebookの特徴だ

 Database.comがソーシャルなデータベースである理由は、このソーシャルAPIに対応することで、まずは同社ソーシャルメディア「Chatter」のソーシャルAPI「Chatter REST API」に対応することが発表されている。Database.comの一般公開は1日目の基調講演で発表されたのだが、2日目の基調講演の時点で、すでに1000以上のデータベースが登録されたという。「Chatter REST API」はまだプレビュー版で一般公開は2011年末だが、初日からこうした勢いで増えていくのであれば、Chatter REST APIを利用したデータベースも、どんどん増えていくのではないだろうか。

DATAのAPIだけでなく、ソーシャルAPI(SOCIAL API)の搭載がDatabase.comの特徴だ

 PaaS分野については、Force.comがChatter REST APIに対応することが発表された。とはいえ、「Force.com」と「Heroku」は、すでにソーシャルな環境になっている。ゲストとして呼ばれたFacebookのCIO ティム・カンポス氏によれば、Facebookでは社内システムにクラウドサービスを活用しており、ソーシャルグラフを利用して社員の関わり合いを判別し、人事考査などに利用しているという。またHerokuについては、Facebookでコダックが写真をコラージュするアプリケーション、ワーナー・ブラザーズが映画のオンライン視聴サービスの提供に使っていることが紹介された。

Java対応はHerokuで

 Herokuについては、8月26日に発表自体はされていた「Heroku for Java」の紹介も行なわれた。これは名前の通り、HerokuでJavaが使えるようになるというものだ。Ruby on RailsのPaaSとして始まったHerokuだが、サーバーサイドJavaScriptの実装の1つである「Node.js」とLips系言語「Clojure」のサポートも表明しており、4種類の言語が使えるサービスとなった。

HerokuがJavaに対応する

 セールスフォースは以前、Java対応のPaaS「VMforce」をとしてヴイエムウェアと共同開発中であることを案内していた。今回のDreamforce '11で正式スタートが発表されるのではと期待をしていたが、基調講演は触れられることもなかった。Heroku for JavaによってJava対応は果たされたわけで、公式の発表はないものの、VMforceはフェードアウトしていくと見られる。

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