本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
「iTunes in the Cloud」が完全スタート
ここ日本でも、「iTunes in the Cloud」で音楽の取り扱いがスタートした( 「iTunes Match」も2012年後半に開始予定)。消費者がオンラインでダウンロード購入することに抵抗がなくなった現在、利便性という観点からサービス開始が待望されていたものだ。昨年6月に音楽/アプリ/電子ブックが揃って提供開始(ベータ版)されていた米国と比較すると、実に8ヵ月遅れとなる。
iTunes in the Cloudは、iTunes Storeで購入したコンテンツをiCloud上で管理し、同じアカウント(Apple ID)が割り当てられたデバイスへ自動ダウンロードするというもの。自動ダウンロードを有効にできるのは、デバイスとパソコンを合わせて最大10台だ(1つのApple IDで最大5台のパソコンを認証可能)。
自動ダウンロード機能の利用中は、たとえばMac/WindowsのiTunesで購入した曲が、ほぼ同じタイミングでiPhoneやiPad、iPod touchに現われるようになる。逆もまたしかりで、iPhoneで購入した曲は、Mac/WindowsのiTunesに自動ダウンロードされる。自動ダウンロードに設定していなくても、曲を購入した権利はクラウド上で管理されているので、いつでも自分のデバイスに手動ダウンロード可能だ。また、購入した曲を誤って消してしまった場合には、無償で再ダウンロードできる。
日本で音楽の取り扱いが遅れた理由は明らかにされていないが、レコード会社との契約変更にかかる時間に差があったという推測が妥当だろう。交渉難航の噂が漏れ伝わったiTunes(Music)Storeオープンのときとは異なり、楽曲を提供するかどうかというそもそもの話ではなく、すでに提供している楽曲の転送方法が簡略化されることが主題だからだ(とはいえ、消費者にとってのメリットは大きい)。
iTunes in the Cloudの完全スタートというニュースは、iTunes Storeオープンや有名レーベル参加のときと比べると、新たに曲を購入する動機付けには欠ける。しかし、これまで多数の曲を購入しているユーザーにとっては、iTunes Storeがより使い勝手のいいオンラインストアになることは確かだろう。
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