全国のサーキットの中でも屈指のロケーションを誇る、大分のオートポリス。SUPER GT 第7戦の舞台である。高低差が50メートル以上あり、路面が荒れていることもあって、タイヤに厳しいテクニカルコースとしても知られている。
晴れという天気予報を裏切り、天気はあいにくの曇天。標高が高いせいかかなり寒い。タイヤが温まりにくいらしく、午前中のフリー走行ではミクZ4のタイムはあまり上がらなかったものの、谷口選手が7番手タイムを出し、フリー走行は終了した。
お昼には先日ASCII.jp編集部にも来てくれた柳田真孝選手、谷口選手、そして#11 JIMゲイナー458のエースドライバー、田中哲也選手によるトークショーが行なわれ、とくに谷口選手と田中選手のトークはふたりとも笑顔だったものの、決勝レースの前哨戦といった感じで早くも火花がバチバチであった。
そして、14時。ついにシリーズ終盤、かつチャンピオン争いを左右する決勝レースがスタートする。目下のライバル、458はすぐ目の前だ。「なんとしてでも1周で458の前に出る!」と谷口選手は言っていた。458どう逃げるのか、ミクZ4はどう仕掛けるのか。一瞬たりとも目が離せないレースになりそうである。
いつも通り、ローリングラップでレースはスタートした。スタートドライバーを担当する谷口選手は、公約通りいきなり458と#74 apr カローラを抜き、1周目で5位に立つ。このまま上位に……と思われたが、先頭を走る#66 レガシーB4がとんでもない速さで、前戦のミクZ4のように下位との差をどんどん広げていく。ミクZ4の直前を走っている#2 エヴァ紫電もコースとの相性がいいのか、全速力で追いかけるミクZ4から逃げていく。谷口選手にこのときのことを聞くと「紫電から上位のマシンが速すぎて、追いつける気がしなかった。なのでとにかく458を押さえることに専念しようと」とのこと。たしかに相性の悪いサーキットに加え性能調整、さらに他のマシンはウェイトハンデが約半分になっている。ハコ車マスターの谷口選手をもってしても、お手上げ状態のようだ。
紫電との差は広がるが、後続の74カローラと458を押さえて走る谷口選手。74カローラが458を押さえている形になっているので、458とのタイム差を広げることに成功していた。すると、カローラは早々にピットインし、458の追い上げが始まった。だが、タイム差は広がらず、ミクZ4の優位は変わらなかったのだが、458もピットイン。そして24周目にミクZ4もピットインし、番場選手へチェンジ。
ここで、恐れていたことが起こってしまった。アウトラップで458に抜かれてしまったのである。458はこれまでの速さを取り戻したかのように上位陣に食い込んでいく。一方ミクZ4は、すぐ目の前を走る#31 ハセプロカローラに差を広げられてしまい、さらに、74カローラに接触され抜かれてしまう。番場選手に聞くと「2回接触されました。1回目はコーナリング中に、2回目はコーナーを抜けて立ち上がってる最中に後ろからドンと……」という状況だったらしい。スピンやコースアウトをしなかったのは不幸中の幸いか。なお、この接触は審議の結果、74カローラに黒白旗(スポーツマンシップに欠けるドライバーへの警告)として処理された。警告だけでペナルティーはないため、順位の変動はなかった。

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