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仕事と生き方を変える、著名人の意見 第2回

もし若者が考古学者になりたいと思ったら

考古学はマネジメント学だ! スタンダードを掴み、真実を追及する

2011年09月26日 09時00分更新

文● 吉村作治

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 この記事は吉村作治氏のメールマガジン『吉村作治の週刊e-パピルス- エジプト考古学者のマネジメント学 -』(「ビジスパ」にて配信中)から選んだコンテンツを編集しお届けしています。

 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著)を知り、ドラッカーのマネジメント論の一端を知ったとき、「これって考古学にも応用できる。いや考古学にこそ必要だ、マネジメントを知らずして正しい考古学者にはなれない」と思ったという吉村作治氏。

 「若者に向けた、ドラッカーの経営論を考古学に応用したらこうなるという<もしドラ-考古学者編->」と銘打った本稿からは、ビジネス的にも、また現代の生き方の面でも、学ぶところも多いはずだ

一発屋じゃだめ。継続性、持続性が大事

ツタンカーメンの黄金のマスク

 高校野球で最も重要なのは、甲子園に出て全国一になることなのでしょう。それを女子マネージャーが成し遂げられるという発想のすごさを「考古学で世界一になるためにドラッカーのマネジメント論をきちんと研究するとできる」に利用してみようと思ったわけです。

 「2番じゃだめなんですか、1番じゃなければ・・・」といった政治家がいましたが、オリンピックであろうとも国内のスポーツであろうとスポーツは1番じゃなければだめなんです。2番になって「自分をほめてあげたい」なんて言うのは自己弁護か自分に甘いとしか言えません。1番と2番じゃメダルの色以上に差があるはずです。第一、2番狙いで何かをやったら2番どころか10番にもなれません。普通1番を狙っても、3,4番になるのが精一杯なんですから。

 私は世界一のエジプト考古学者になろうと子供のころから思っていました。「考古学で世界一になるってどういうこと?」と聞かれます。はじめは、「ハワード・カーターが発見した、ツタンカーメン王墓を超える発見をした考古学者のことを言うんです」と言っていましたが、今は「一つや二つの大発見よりも、いくつもの大発見がコンスタントにできる考古学者で、なおかつその論文が考古学の分野だけではなく、その他の学問分野でも、またマスコミにも引用、利用される回数が最大である考古学者が世界一の人と言います」と修正しています。

 一発屋じゃだめなんです。継続性、持続性がなければいい考古学者になれませんし、後輩や弟子もついてきません。考古学は一人ではできません。いろいろな分野の人が集まってチームを作るわけですから、人間関係も非常に重要なファクターです。ハワード・カーターのように融和性がない人は現在では世界一のエジプト考古学者とは言われないのです。

ツタンカーメンの王墓を発見したハワード・カーター((c)Chicago Daily News, Inc.)

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