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Dreamforce '11レポート 第2回

Dreamforce基調講演1日目

ベニオフ氏、企業のソーシャル格差解消を訴える

2011年09月02日 06時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

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 8月31日(米国時間)、米セールスフォース・ドットコムのユーザーイベント「Dreamforce'11」の基調講演が、同社CEOマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏の登壇によって始まった。多くのサービスを提供するセールスフォースだが、その業務は「Salesforce CRMを中核とするアプリケーションビジネス」、「Force.comやHerokuというPaaSサービスを提供するプラットフォームビジネス」に分けることができる。2日間に分けて行なわれる基調講演の内容も、この2つにあわせてわかれており、初日はアプリケーションビジネス関連の発表が行なわれた。

 昨年は3万人台だったDreamforceの登録者は、今年は4万人を突破。会場も、昨年使われたサンフランシスコのモスコーンセンター(Moscone Center)の3カ所(Moscone South/North/West)だけでなく、周辺のホテルや公園にも広がり、さらにMoscone SouthとMoscone Northの間の公道を封鎖してイベント会場としていた。基調講演も大規模で、会場となったMoscone Southのホールには1万5000人が集まり、3万5000人がオンラインで観覧したという。

会場最前列に座っていた歌手のニール・ヤング氏(右)とMCハマー氏。両氏ともChatterを活用していることが、ベニオフ氏に紹介された

 ここ数年、さまざまなカンファレンスにおいてベニオフ氏は、「真のクラウド」の必要性を主張し、他社のクラウド製品(特にプライベートクラウド構築用のハードウェア)を強く批判し続けていた。しかし今回の基調講演では、恒例となったオラクルの「Exalogic Elastic Cloud」に対する揶揄こそあったが、Dreamforce 2010のような時間をかけての批判は行なわれなかった。クラウドはすでに当然の存在となっており、クラウドがキーワードになる段階は過ぎたということだろうか。

セールスフォースのカンファレンスで何度も見かけた「偽物のクラウド」を批判するスライド。多くの参加者もすでに知っており、スライドが現われると会場内に笑いが広がった

 今回メインとなった話題はソーシャルメディアであり、ソーシャルメディアを企業で利用する「ソーシャルエンタープライズ」だ。セールスフォースは以前よりソーシャルエンタープライズに力を入れており、2009年にTwitterのつぶやきを取り込んで顧客サービスに活用できる「Salesforce CRM for Twitter」を、2010年には企業内Twitterともいえる「Chatter」の提供を開始している。この方針は今年も同様で、「ソーシャルデバイドの解消」をキーワードに、新たなサービスが紹介された。

ソーシャルエンタープライズを構成する要素とは?

 ソーシャルメディアの普及は、全世界的に進んでいる。中東での民主化運動「アラブの春」ではソーシャルメディアが活用され、ソーシャルメディアのユーザー数はメールのユーザー数を超えている。また、Webの使い方も変わってきており、これまで企業や製品の情報を知りたい時は、「www.~」で始まるその企業のWebサイトにアクセスしてきた。しかし最近では、「facebook.com/~」というFacebook内にあるその企業のページを利用するようになってきたという。

 このように、ソーシャルメディアの普及により個人間のつながりは強くなり、企業はソーシャルメディアの導入を進めている。しかし、企業はソーシャルメディアを使いこなせておらず、ソーシャルメディア上の個人の声を企業は拾いきれていない。この隔たりが「ソーシャルデバイド」だ。

 前述のSalesforce CRM for Twitterはソーシャルデバイドの解消を行なうサービスといえるが、さらに機能が強化される。Salesforce CRMには顧客の情報を表示するコンタクトリストがあるが、ここに、ソーシャルプロフィールが追加される。ソーシャルプロフィールは、この顧客がTwitterで何をつぶやいているのか、何が気に入っているのか、どのような契約をしているのかなどがわかるようになるという。

 ソーシャルデバイドの解消のための新機能は、Chatterにも追加される。2012年冬までに正式スタートするもので、TwitterやFacebook上での顧客のつぶやきやつながりをChatter上で知ることが可能となり、他のユーザーのログイン状況などのプレゼンスが確認できる「Chatter NOW」が搭載される。

Chatterに多くの新機能が搭載される

 Chatterは企業ごとにアカウントが管理される、いわば自社専用のTwitterであり、つぶやきや登録した情報が外部に公開されることはない。情報漏えい対策としては優れた仕様なのだが、他社とのプロジェクトでは使えないという欠点にもなっていた。この問題を解決するため、外部メンバーを参加させる機能が追加される。

 ほかに、Chatterがファイル登録に対応する。「Facebookに写真をアップするように、Chatterにファイルをアップできる」(ベニオフ氏)のだ。Chatterが発表された当時、セールスフォースはSharePointをライバル視する発言をしていた。オフィス文書サーバーとして始まったSharePointがどうしてライバルになるのか疑問に思ったが、この機能の実装を予定していたが故だったのだろうか。

 企業内の文書管理は、単にファイルを保存するだけのファイルサーバーではなく、目的の文書を効率的に見つけ出す管理機能が求められている。ファイル登録時に検索用コメントを登録する機能を持つ製品もあるが、わざわざコメントを付けるのは手間がかかるため、往々にして使われなくなってしまう。だが、Chatterにファイルをアップしておけば、前後の会話の内容を検索することでそのファイルを発見することができそうであり、文書管理システムとしてChatterを使うケースは増えるのではないだろうか。

基調講演に続いて行なわれた「A Vision for the Future: The Digital Agenda Panel with Global Government Leaders(革新技術主導の政府官公庁分野における変革に関する特別セッション)」。民主党の原口 一博 衆議院議員が参加の予定だったが、キャンセルとなった

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 この基調講演では、オンラインデータベースサービス「Database.com」の外部データへの対応、セールスフォースのアプリケーションをスマートフォンやタブレットで利用するための「Touch.Salesforce.com」を開発中であることなど、さまざまな新機能/新サービスが紹介された。2日目の基調講演ではプラットフォーム関連が扱われる予定で、グーグル会長のエリック・シュミット氏がゲストとして登場する。こちらでも、多くの新サービスが発表されるのだろう。

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