
6月8日に実施された第1回目のWorld IPv6 Dayに併せて、いろいろな工夫を凝らしたIPv6対応のWebページが提供された。今回は番外編として、それらのページをいくつか紹介する。IPv6対応のユーザーのみが見られたスペシャルコンテンツもあった。
24時間限定でIPv6を実験するWorld IPv6 Day
「World IPv6 Day」は、1日(24時間)だけWebサービスを一斉にIPv6対応にして、その影響を探ってみようという試みである。「Internet Society(ISOC)」が音頭をとって、世界中のWebサービス提供者に参加を呼びかけたものだ。その第1回目が、世界標準時の2011年6月8日0時(日本時間では午前9時)から、24時間にわたって実施された。
参加は強制ではなく、Webサービスの事業者やホームページを運営する個人が自主的に参加している。ISOCのWorld IPv6 Day公式サイトに登録されたWebサイトだけでも434にも達したが、実際にはそれどころではない数のサイトがIPv6に対応したものと見られる(画面1)。
World IPv6 Dayは、IPv4アドレスの枯渇が現実のものとなり、IPv6への移行が待ったなしの段階に突入したことを受けて企画された。すなわち、IPv6によるサービス提供に問題がないことを実際のインターネットを使って検証し、もし問題が生じた場合にはその情報(現象・原因・対応方法など)を共有し、今後の課題解決に役立てることを目的としている。終了直後の報告によれば、世界的に大きな混乱はなかった模様である。
World IPv6 Dayに向けての環境チェックのページ
World IPv6 Dayに関しては、日本国内で「World IPv6 Dayの期間中に、IPv6に対応したサイトを閲覧できないユーザーが出る」ことが懸念された。これは、NTT東西のフレッツ光サービス(Bフレッツ、フレッツ 光ネクスト)が、フレッツ網内でグローバルIPv6アドレスを割り当てていることの影響である。具体的には、
- NTT東西のフレッツ光サービスに加入
- IPv6に標準で対応したOSを使用
- フレッツ網内でのみ有効なグローバルIPv6アドレスがPCに割り当てられた
という条件にすべて適合した場合に、IPv6に対応したサイトを閲覧できないという現象が生じる。
そこで、World IPv6 Dayに向けて、上記の現象が生じるかどうかをセルフチェックできるサイトがいくつか作成された。筆者が利用したのは、「test-ipv6.com」である。このサイトは比較的詳細な情報が表示されるので、なかなか興味深い。
ちなみに、手元では「OCN IPv6」と「IIJ IPv6仮想アクセス」の2種類のIPv6アクセス環境を用意している。画面2はそのうちOCN IPv6を利用した場合の表示である。
一方、IIJ IPv6仮想アクセスを利用した場合は、画面3のようになった。両サービスで、テスト結果に違いがあるのが面白い。
World IPv6 Day向けに工夫されたサイト
World IPv6 Dayに併せて、IPv6でもアクセスできるサイトはずいぶん増えている。その中には、IPv6でアクセスした場合には、IPv4でアクセスした場合と明らかに違うコンテンツを表示するサイトもあった。
.jpドメインでは、「KVH」のサイトが工夫を凝らしていた。IPv4でアクセスすると、ふだん通りの画面(画面4の左)が表示される。ところが、IPv6でアクセスすると、World IPv6 Dayだけのスペシャル画面(画面4の右)になったのだ。
また、ネットワーク機器のベンダーでは、UTM(統合脅威管理)の米フォーティネットのWebサイトが同様だった。KVHほどには目立たないが、IPv4でアクセスした場合(画面5の左)とIPv6でアクセスした場合(画面5の右)とで、画面の構成要素が部分的に変わっている。
World IPv6 Day参加をアピールしたサイト
「岡山歯科医院MAP」は、岡山県内の歯科を紹介するサイトで、一見するとITとは縁のなさそうなコンテンツ。しかし、積極的に「World IPv6 Dayに参加」とアピールしていた(画面6)。
一方、「Feel6接続サービス」などIPv6の実用化に向けて多大な貢献をしてきた老舗フリービットも参加している(画面7)。
少し変わったところでは、World IPv6 Dayの前日に公開された、アカマイ・テクノロジーズの「アカマイIPv6統計データ」がある(画面8)。
これは、IPv6のWebトラフィックをリアルタイムでデータ化、可視化するものだ。具体的にはヒット数、リージョン(アジア/欧州/北米)間のレイテンシ(遅延秒数)、リージョン間のパケットロス比率(パーセンテージ)の時系列グラフを表示するサイトだ。
IPv6アクセスを確認できるサイト
World IPv6 Dayの期間中も、IPv4によるWebサービスは従来通り提供されたので、IPv4でアクセスする場合は特に変わったことはない。しかし、このイベントに併せて、「IPv6でアクセスされているのか、IPv4でアクセスされているのか」を表示するサイトが多くなっている。
ここでは、日本企業で最初にWorld IPv6 Day参加を表明したNECのグローバルサイト(画面9)、NTTコミュニケーションズのOCN(画面10)、ネットワーク機器ベンダーのアラクサラネットワークス(画面11)を挙げておく。
今年が第1回目のWorld IPv6 Day、ユーザーから見れば大した混乱や問題もなかったようであり、まずは一安心というところだろうか。「インターネットアクセスのIPv6への切り替えはおおむね順調に進んでいるな」という印象を受けた。もちろん、Webサービス提供者やインターネットのインフラを支える通信事業者やネットワーク機器ベンダーの、目に見えない部分での努力や苦労は大きかっただろう。だが、この調子で対応を進めていってほしいところだ。

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