今回のお題は「iPad 2」である。アメリカでの発売からは2ヵ月近く経過しているが、日本では発売後ようやく2週間といったところ。品不足もあって、「まだ手にしていない」という方も少なくないだろう。
iPad 2は初代iPadに比べて、どこがどう変わったのか? 「iPad後」に出た数々のタブレット端末との比較も交え、iPad 2の魅力を考えてみよう。
「洗練」されたデザイン
使いにくさを解消
のっけからネガティブな話で恐縮だが、iPad 2が発表された時に「すごい進化だ!」と打ち震えた、という人はおそらくいなかっただろう。噂されていた高解像度ディスプレーの採用はなかったし、サイズも9.7インチクラスのまま。プロセッサーパワーこそ進化したけれど、マイナーチェンジもいいところ……というのが、大方の見方であったはずだ。
正直なところ、筆者もそう思った。製品版を手にしている現在も、その考え方は変わっていない。だが「マイナーチェンジだから買うに値しない」かと言うと、「そんなことはない」というのが答えになる。逆に言えば「良くできていると思ったiPadにはかなり難があった」のが見えてくるマイナーチェンジであり、iPad未購入者には強くお勧めできる進化、と言うのが筆者の結論である。
例えば薄型化。iPad 2は初代iPadに比べて、約33%薄くなったことが特徴に挙げられている。だが実際に使ってみると「薄くなった」印象よりも、底面がほぼ完全なフラット形状になり、机の上などで座りがよくなったというメリットが大きい。初代iPadは中央が盛り上がる形だったので、ケースやドックがないとどうにも落ち着かなかった。見た目にも、初代iPadに比べてぐっと薄くなった印象だ。
スペック的に言えば、最近発表されたばかりのサムスン「Galaxy Tab 10.1」の方が薄いようだ。しかし現時点では、日本で手に入るタブレット端末の中では、もっとも持ちやすい薄さ(大きさではない)の製品と言える。
重さも従来比で15%軽くなっているわけだが、こちらはさほどはっきり感じられるほどではない。持ち比べれば「違うかな」と思うくらいである。むしろ、薄くなって手に持った時の感触が変わったことで、より負担を感じにくくなったために「軽く感じる」効果の方が大きいと思う。
デザインの面でプラスに働いているのは、新しく用意された「Smart Cover」の存在だ。クルクルと丸めて折りたためる様から、日本では「風呂のふた」の愛称(?)で呼ばれることも多いが、アップル純正の専用設計だけに、使い勝手は非常にいい。磁石をスイッチに使い、電源スイッチに指を触れることなく、カバーを開けるだけで電源が入るという仕組みは確かに快適。取り付けても薄さと美観を損なわない取り合わせのうまさも、「専用設計」ならではだ。
他方で、「本体裏側は一切守らない」という潔さや、安価なポリウレタン製でも3980円、レザー製に至っては6980円という価格設定は少々強気すぎると感じる。アップルがヒントを与えてくれたのだから、同様の機構を持ったカバーは今後どんどん登場するだろう。「純正ならではの一体感」を重視しないなら、そういったサードパーティー製品に期待するのもいい。
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