純正品でありながら「これはちょっと」と感じるのは、専用ドックとの組み合わせである。iPad 2になり、専用ドックもデザインに合わせたものに形状が変わった。だが今回も、純正カバーを付けた状態ではドックにうまくはまらないのだ。
元祖iPadの時はまったくはまらなかったのに対して、iPad 2ではSmart Coverが本体に密着した状態でははまらないが、カバーを少し浮かせた状態ではなんとかはまる。そのくらい調整して設計すればいいのに……と思うのは筆者だけではあるまい。
プロセッサーの高性能化は効果大
ゲームでの表現力も向上
内部はどうだろう? iPad 2ではシステムLSIが、新型の「A5プロセッサー」に変更されている。アップルはこのA5について、「デュアルコアでパフォーマンスが最大2倍になったこと」「GPU性能がA4に比べて最大9倍に伸びたこと」のみを公開しており、どう進化したのかはっきりしない。
開発者などからの情報を総合すると、中身はどうやら次のような構成であるようだ。
- CPUはデュアルコア世代の「Cortex A9」ベース
- GPUは英Imagination「PowerVR SGX543」のデュアルコア
- メインメモリーは、初代iPad(256MB)の倍にあたる512MB
そのため、動作速度は体感でもわかるくらい向上している。特にすぐわかるのが、アプリの起動速度とウェブブラウザー(Safari)の挙動である。
軽くベンチマークをとってみたところ、iPad版のプレゼンテーションアプリ「Keynote」の起動時間が、初代の5秒から3秒へ、ゲーム「Infinity Blade」のゲーム開始までの時間で43秒から18秒へと、大幅な速度向上が確認できた。初代iPadでアプリ起動速度が不満点であったなら、この点だけでも買い換えに値するかもしれない。
またソフトウェアキーボードの反応も、こころなしか快適になった。初代iPadでも不快ではなかったが、iPad 2の方が変換候補の出る速度が心持ち速くなり、ハードウェアキーボードにより近い使い勝手になった印象を受けた。筆者の評価としては「そのために買い換える」ほどの差とは思わないが、こんな点ですら「初代iPadはまだチューニングが足りなかったのだな」と思わせる。
GPUの変化については、iPad 2向けに専用チューニングが施されたアプリの場合では、画質面でもパフォーマンス面でも大きな改善が見てとれる。例えば前出のInfinity Bladeは、iPad 2向けの最適化を謳っているゲームだ。起動が速いのはもちろんだが、グラフィックの表現力も上がっている。初代iPadではスペキュラーやバンプマッピングがきちんと表現されていなかったものが、iPad 2でははっきりと表現されるようになった。
他方で、最適化されていないアプリの場合、効果は主にフレームレート向上に止まるようだ。iPadの出荷台数全体から見れば、iPad 2の比率はまだ低い。発売からの時間が短いこともあって、iPad 2に最適化されたゲームアプリはまだ多くない。
アプリ開発において、どれだけiPad 2に最適化を進めるかは難しい判断になるだろう。しかし「iPad 2に最適化されている」ことがアプリのプロモーションになること、GPUとしてはiPhoneや初代iPadと同系統で、最適化作業そのものは決して難しくないこと、App Storeにより配布の手間も小さいことなどを考慮すると、最適化されたアプリが増えるのは意外に早いのではないか、というのが筆者の予想だ。
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