4月14日、カスペルスキーはAndroid端末向けのセキュリティ対策ソフト「カスペルスキーモバイルセキュリティ9」を発表した。Android端末を狙ったアンチウイルスやプライバシー保護、漏えい対策など幅広い機能を持つ。
すでに危険なAndroid端末のセキュリティを守る
カスペルスキーモバイルセキュリティ9は、アンチウイルス、プライバシー保護、盗難対策、着信拒否などの機能を持つAndroid端末向けの統合型セキュリティ対策ソフト。バージョン9ではあるが、国内での製品展開ははじめてだという。
発表会で製品の説明を行なった日本法人代表取締役社長の川合林太郎氏は、続々と登場するAndroid端末には、すでに数多くの脅威が迫っていると説明する。
PCの場合、脅威は自己顕示欲、愉快犯、ネット犯罪という3つの経緯を経て、今に至ってきたが、「Andorid端末は、(PCと異なり)一足飛びにネット犯罪につながってしまいます。このまま見過ごしにはできないと思いました」という状況。川合氏によると2008年にSymbian向けのモバイルマルウェアが登場して以降、モバイルマルウェアは増え続けているという。また、モバイル端末に関しては、盗難・紛失の危険性が高い。こうしたリスクを下げるために投入されるのが、カスペルスキーモバイルセキュリティ9になる。
カスペルスキーモバイルセキュリティ9のおもな機能は、以下のとおりとなる。
- アンチウイルス
- 内部・外部メモリにあるアプリケーションやデータをスキャンし、マルウェアを検知・駆除する。スケジュールに基づいたスキャンのほか、リアルタイムなスキャンも可能になっている。
- プライバシー保護
- 保護機能をオンに知ることで、秘密にしておきたいコンタクト先や電話番号を厳重に管理する。ボタン1つで連絡先やSMS履歴、通話や着信・着信履歴を表示・非表示に設定することが可能
- 盗難・紛失時の漏えい対策
- 紛失、盗難の際にAndroid端末をリモートロックする。パスワードをSMSで送ると端末がロックされ、データを消去できる。SIMカードの差し替えを検知して端末をロックすることも可能。また、GPSの追跡機能を使って場所を特定できる。
- 着信拒否
- 着信とSMSのフィルタリングを行ない、迷惑電話やSMSスパムを遮断できる。ブラックリストの番号とSMSを拒否したり、ホワイトリストの番号とSMSを許可する。
パッケージ版は用意されず、専用サイト(http://www.androidsecurity.jp/)からのダウンロード版のみ提供される。まずは1カ月の体験版の提供からスタートし、幅広く使ってもらうことを重視。年内に100万本の頒布を目指すとのこと。体験版の期間も延びる可能性が高く、商用として供するかは今後検討するという。
何十倍の成長カーブを突っ走る同社
発表会においては、CEOのユージン・カスペルスキー氏、会長の加賀山進氏が前日の法人向け製品発表会と同じく日本のビジネスについて説明した。詳細は14日のレポート記事を参照のこと。
1月に会長に就任した加賀山氏は、前日説明したフランチャイズ制から100%子会社化への移行を改めて説明。投資がスムースに行なえるようになるため、人材やパートナーなどの確保が可能になり、他国と同じく、急成長が見込めるとアピールした。100%子会社化が3月に完了した後は、成熟市場である日本の市場にあわせ、コンシューマ製品の知名度認知、パートナーネットワークの拡充、サポート体制の強化などを図るとのこと。また、6月には新オフィスへの移転を行なうという。
さらに、会長就任から3カ月を経た加賀山氏は「何十倍という成長カーブを突っ走っていながら、痛みも楽しみもエンジョイする不思議な雰囲気がある」「非上場なので、驚くほど長期的な視点を持っている」「若さ、未熟さを活かして大きなエネルギーを発揮できる会社」など、カスペルスキーの会社としての印象を披露した。