Mobile World Congress 2011 レポート 第3回
IE9もWindows Phone 7に移植 Nokia幹部も登壇
MSバルマーCEO基調講演 Nokiaとの協力でWP7にさらに注力
2011年02月15日 15時00分更新
Windows Phone 7のアップデートに関する話題は
IE9の移植とUIの強化
その後バルマー氏は、Windows Phone 7を担当するジョー・ベルフィオーレ副社長をステージに呼び、同氏にWindows Phone 7についての話をさせた。
ここでの大きな話題はIE9のWindows Phone 7への移植だ。Windows向けにはすでにRC版まで登場したこともあって、Windows Phone 7への対応も可能になったのだろう。ただし、このIE9の移植はただウェブブラウザーのバージョンが新しくなることだけではない。IE9は、HTML5とCSS3に対応するとともに、GPUを直接操作することで高速な表示や高品位な表示が可能になった。そして新開発のJavaScriptエンジンにより、スクリプトの実行速度も向上している。もし、フル機能の実装であれば、画面サイズを別にすれば、PCとほぼ同じ表示が可能なブラウザーがモバイル向けに登場することになるからだ。
デモでは、Windows用のIE9 TestDriveなどで有名な熱帯魚が泳ぐものを見せた。これは主に描画性能を見るためのもので、熱帯魚のビットマップを大量に同時表示させるとどうなるかを見るものだ。ビットマップ表示はブラウザーの描画機能に依存し、GPUを直接操作できるIE9は、他のブラウザーなどよりもかなり高速だ。
メモリの問題などもあるので、PCとまったく同じとはならない部分もあるが、少なくとも、こうした描画機能がこのIE9でかなり向上することになる。このWindows Phone 7のIE9は、すでにベータ版の配布が行なわれており、年内には開発が完了する予定だという。
ユーザーレベルにもマルチタスクを開放する
また、ユーザーインターフェース(UI)の強化点としては、マルチタスク対応がある。起動中のアプリケーションへのアクセスは、キーの長押しで可能にする。もともとWindows Phone 7のカーネル自体はマルチタスク対応なのだが、そもそもWindows PhoneのUIはユーザーにHubページから機能へとアクセスさせることを主眼においており、プログラムアイコンをタップして起動するという使い方は副次的だった。
つまりマルチタスクの導入は、利便性を向上させるが、従来のアイコンのタップでプログラムが起動するというやり方への回帰でもある。大量のアイコンを並べて、ユーザーを混乱させることがないように作られたWindows Phone 7のHub機能だが、利便性は高まるもののコンセプト的には少し後退した感じがある。
Nokiaとの提携話はかなり前から進んでいた?
最後にマイクロソフトと提携したNokia CEOのステファン・エロップ氏が登場。Windows Phone 7を採用する他社にも配慮しつつ、Windows Phone 7でスマートフォンビジネスを拡大していくという話をした。同社は下位の低価格端末(非スマートフォン)では、引き続きSymbianの利用を続ける予定だという。しかし、スマートフォン分野では、Windows Phone 7を主力とするようだ。
同氏はもともとはMacromediaのCEOで、買収によりアドビシステムズに、そして2008年にはマイクロソフトへと移り、ビジネス部門を統括していた。さらに2010年9月には同氏はNokiaへ移籍。この時点でマイクロソフトとの提携が模索されていたと考えられる。両社のエンジニアはすでに“数ヵ月”以上も共同作業しているという話を聞くと、両社が合意したのは昨年夏以前ではないかという推測も成り立ち、そもそもエロップ氏はNokiaがWindows Phone 7を採用する「地ならし」のために移籍したようにも見える。そう考えると、両社の関係は今後より深くなる可能性もあるだろう。
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