Android一色となった今年のモバイル状況において、Samsungは「GALAXY」ブランドを用い、Androidのトップベンダーとしてスマートフォンとタブレットを積極的に展開している。2月にバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2011」(MWC)で、同社無線事業部統括部長 日本輸出グループディレクターを務めるSongshin Kim(金 松信)氏に話を聞いた。
最高レベルの最新ハードウェアを用意し
AndroidでもトップベンダーとなったSamsung
――Androidでは必ずしも先行したわけではありませんでしたが、「GALAXY S」であっという間に中心的存在になりました。これまでをどう見ていますか?
AndroidはHTCさんがいち早く採用しました。そういった点では少し遅れましたが、GALAXY Sがグローバル展開したのは2010年の5月~6月頃。日本ではさらに遅れて10月末となりました。
日本市場という点では、これからはグローバルモデルの発表と日本向けとの時差を短縮していきます。日本語化などのローカライズ作業は、Androidになって楽になりました。以前と比べても簡単で、これがスマートフォンの特徴だと思っています。
――AndroidはLGやSony Ericssonも主要なプラットフォームとして端末を出しています。Samsungの差別化はどこになるのでしょうか?
ディスプレー、デュアルコア、HSPA+対応、NFC搭載のように、われわれは最高レベルの最新ハードウェアを用意しています。ハードウェア面では勝てると自負しています。
ソフトウェア面では、今回4つのハブを用意します。ハブはテーマに関連した情報を統合する場所で、SNS/メール/電話帳を統合したこれまでの「Social Hub」に加え、音楽の「Music Hub」、電子書籍の「Readers Hub」、ゲームの「Game Hub」が入りました。Social Hubも初代(GALAXY S)のものを改善しています。
Music Hubでは、その市場にあったローカルなコンテンツを提供できるようにします。ヨーロッパではある音楽サービスと提携してコンテンツが利用できるようにしますし、日本でも有力な音楽サービスと組みます。
フルレンジで端末をそろえていく
Android以外のOSも様子を見ながら決定をする
――これからスマートフォンの普及にあたって、ミッドレンジではどのように展開していくのですか? エントリーやミッドレンジは中国のベンダーが強い市場となりつつあります。
エントリーからミッドレンジまで、すべての価格帯をそろえていきます。価格競争が基本的な要素としてあります。(価格に加えて)ハイエンドで育てた機能を入れていくような差別化を考えています。
――ミッドレンジのモデルを日本でも展開するような計画はありますか?
市場の変化を見ながら検討していきたいと思っています。現時点では、ミッドレンジ系のAndroid端末は日本では求められていないようです。われわれとしては、グローバルモデルではミッドレンジも用意しているので、市場の動きとキャリアさんの動向をみながら、ということになります。
――2010年のMWCでは初のBada搭載機「Wave」の発表がメインでした。Bada、Windows Phoneなど、Android以外のプラットフォーム計画はどうなっていますか?
どれかに集中するというのではなく、市場のニーズや動きに合わせることが大切だと考えています。1年前、Androidがこれほどブームになるとは誰も予想していなかったと思います。
確かに今現在はAndroid中心ですが、Badaはわれわれのプラットフォームであり、今後もちゃんと育てていきます。「Windows Phone 7」もいろいろ動きが出てくると思います。動きを見ながら決定していきます。
――Waveはヨーロッパでは好調だったようですが、Bada端末を日本で展開するような計画は?
やりたいですね。ですが、Badaをやってくださいという要望がないので(笑)。

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