2月11日にNokiaはMicrosoftと戦略的提携を結び、「Windows Phone」をスマートフォン用の主要プラットフォームとして採用することを発表した。Nokiaは最初のWindows Phone搭載機の発表時期は未定とし、ボリューム出荷は2012年より開始する予定としている。
その直後に開催された「Mobile World Congress 2011」で、Nokiaの最高開発責任者兼執行副社長のKai Oistamo氏がグループインタビューに応じ、改めて今回の戦略変更について説明した。
NokiaとMicrosoftは補完関係にある
Microsoftとの提携は強者同士の合体
――なぜWindows Phoneを選んだのですか?
社内でさまざまなチャンスを検討しました。中でも、Nokiaが置かれている競合環境を熟考しました。
モバイル市場の環境が変わってきており、携帯電話そのものの戦いではなく、エコシステムの戦いになっています。エコシステムでの戦いでは、携帯電話だけではなく、OSやサービスが必要です。検索、生産性アプリ、ゲームなど、インターネットで可能なことが携帯電話でもスムーズに利用できる、これをユーザーは望んでいます。そのための包括的なエコシステムを構築すること、開発者がサービスの要素を加えることができる環境が重要と考えています。
こういった背景を踏まえ、社内(SymbianとMeeGo)、それに社外のWindows PhoneやAndroidを検討した結果、Nokiaにとっては現時点でWindows Phoneが最善の選択だと判断しました。
われわれの使命はコンシューマーに最高の包括的な製品を提供することです。エキサイティングなものを提供して、Nokiaを選んでもらいたいと思っています。
Nokiaがもっている強さとMicrosoftがもっている強さ、この2つは補完的です。Microsoftとの提携は強者同士の合体です。具体的には、MicrosoftのOS(Windows Phone)は世界でも最高レベルで、Nokiaはその上に機能、市場の知識、ハードウェア側の知識を加えます。これによりプラットフォームを前進させます。今回の提携は、すばらしいものを提供するという共通の目的に基づく相互依存の関係を構築することです。
たとえば「Nokia N8」は最高のカメラ機能、HDMI端子などの特徴があり、ハードウェア的には、どのスマートフォンもしのぐレベルです。われわれのこのような専門技術は大きな差別化になります。サービス側では、Nokiaは最高級のマップ環境を持っています。「NAVTEQ」と「Nokia Ovi Maps」の両資産は、それ単体だけではなく、「Microsoft Bing」などエコシステム全体で活用できます。Nokia端末以外でも活用されることは、エキサイティングなことです。
MicrosoftにはOffice機能、Xboxなどがあり、これらを合わせるとすばらしいものを提供できるでしょう。
Windows Phone 7搭載端末のリリースは未定
現在ロードマップを作成している段階
――それらを実現するにあたっての今後のステップについて教えてください。
戦略がやっと決定したところです。今後エンジニアチームが協業していくことになります。
現在どうやってWindows Phoneを市場に提供するのかのロードマップを作っているところです。コンシューマーにエキサイティングなポートフォリオを提示するための技術部品をそろえる部分が終わったところで、必要に応じて、作業を加えていくことになります。
――地図以外に、Nokiaのどの技術が今後も残るのですか? インターネットサービススイートの「Ovi」はどうなるのでしょうか?
いまここで、すべてをお話しすることはできません。
確実にいえることは、Nokiaの優れたハードウェア専門技術を今後も活用するということです。これまでどのメーカーが作ったのよりも優れたWindows Phoneを開発できる自信があります。Nokiaは携帯電話を作成する専門知識・技術を持っています。世界最高レベルのOSと組み合わせることでOSをさらに進化させることができ、OSが進化すればハードウェア側も進化する、相乗効果が生まれるでしょう。これをパッケージしていきます。
Oviブランドがなくなる計画はなく、個々のサービスについてもすべてがなくなるわけではありません。今後熟考して決めていくことになります。サービスで重要なのは、その地域に関連性のあるサービスを提供することです。スマートフォンが中心の成長国も、途上国もです。われわれの最大の強みは、ローカルのリーチとグローバル性で、今後も開発者をサポートしていきます。

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