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Windows Phoneに向けて動き出したNokia、改革がスタート

2011年04月29日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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Windows Phone端末が軌道に乗るまで
厳しい道のりを歩むことになりそうなNokia

 2月にMicrosoftの「Windows Phone」採用戦略(関連記事)を明らかにしたNokiaが、4月21日の決算発表以来、新戦略実行に向けた発表をしている。27日にはSymbian開発に関するAccentureへのアウトソースや合計7000人の解雇などの組織改編計画を公表。再生に向けた大胆な改革が始まったことをうかがわせた。

Nokia CEOのStephen Elop氏。2010年までMicrosoftに所属していた

 スマートフォンで存在感を出せず、ローエンドでも中国系ベンダーに圧されている同社。そのNokiaを立て直すべく2010年9月にMicrosoftから移籍したのが新CEOのStephen Elop氏だ。Elop氏は今年に入り、新しいNokiaに向けた計画を次々と打ち出している。

 まずは2月11日、Microsoftとの提携により、主要なスマートフォンプラットフォームとしてWindows Phoneを採用することを発表した。NokiaはこれまでスマートフォンではSymbian、それにIntelと共同で推進するLinuxベースの「MeeGo」の2つを戦略としてきたが、Windows Phoneが“メイン”となったことで、Symbianはミッドレンジからローエンド端末に採用し、徐々にWindows Phoneに塗り変えていく暫定的なポジションとなった。一方のMeeGoは実験的な位置づけとなった。なお、NokiaのMeeGo端末はまだ製品として登場しておらず、Elop氏は2011年中に1台発表すると述べている。

 Nokiaは4月21日、第1四半期の決算を発表するとともに、Windows Phone採用に関する契約をMicrosoftと前倒しで締結したと発表した。第1弾の開発が着実に進んでいると両社は報告しているが、出荷時期については名言を避けている。2月の時点では「ボリューム出荷は2012年」(Elop氏)としていたが、次期「Windows Phone 7.5(Mango)」ベースの端末2機種(“W7”“W8”)がすでにテストに入っているというリークもある。

Symbianの開発部隊をAccentureに移管
社員は総計7000人削減

 Accentureとの提携はそうした中で発表されたものだ。NokiaはSymbianのソフトウェア開発事業をAccentureに移管。Nokiaの社員3000人もAccentureに移す。Accentureは2009年7月に(Nokiaが英Symbianを買収してオープンソース団体Sybian Foundationを設立すると発表した翌月のことだ)、NokiaからSymbian OSのプロフェッショナルサポート事業を買収しており、今回の取得でSymbianの主要な事業はAccentureに移ったように見える。Nokiaは今後、Accentureを主要なソフトウェアパートナーとし、同社よりSymbianベースのソフトウェア開発とサポート、さらにはWindows Phone関連のサービスを受けるという。なお、Nokiaは2月にSymbian端末を1億5000万台販売する目標を明らかにしている。

 同時に組織再編として、4000人の従業員を解雇する計画も発表した。主として本拠地のフィンランド、それにデンマークとイギリスのスタッフが対象という。Accentureに移る社員を合わせると、Nokiaは合計で7000人もの人員削減を実行することになる。さらには研究・開発部門も再編し、2013年までに合計10億ユーロのコスト削減を実現するとしている。

 改革を期待されていたElop氏が大胆な計画を相次いで発表したことで、Nokiaの株価は上がっているようだ。だが、第1四半期のNokiaの自社推定シェアは29%で、前年同期の33%から4ポイントダウンしている。またiPhoneの第1四半期の売上げがNokiaの第1四半期の携帯電話の売上を上回るなど、Nokiaの状況はますます厳しくなっている。Windows Phone端末を無事送り出した後も、開発者の取り込みなど課題は多い。Elop氏率いるNokiaが歩みだした改革の道のりはまだまだ長そうだ。


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