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Apple Geeks 第26回

「新世代リモコン」としてのiPhoneを考える

2011年02月02日 12時00分更新

文● 海上忍

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

リモコンの新たなトレンド

 TVリモコンの狙いを定めてボタンを押す……日常の風景だが、それが当たり前になったのは何年ほど前だろう? 歳がバレてしまうが、MTVが大流行した80年代前半にはVHSビデオデッキをリモコンで操作していた記憶があるので、1970年代後半には相当数が出回っていたはず。

 そしてその頃からリモコンといえば「赤外線」。話によれば、70年代前半あたりから家電メーカーはリモコンの試行錯誤をスタート、当初は超音波を用いるなどしていたそうだが、誤認識が多いなどの問題から赤外線に落ち着いたのだそうな。

 いずれにしても、赤外線リモコンは30年以上の長きにわたり第一線で利用されている。コンピュータで30年前といえば8bit機全盛、筆者もPC-8001(NEC)とかFM-8(富士通)とかVIC-1001(Commodore)とかApple IIe(Apple)とかMZ-80B(シャープ)とか……。もはや博物館入りしているマシンが幅を利かせていた時代だ。

 この赤外線リモコン、レガシーデバイスを他に先駆けて排除するApple製品でも今なお利用されている。Apple TV以外は標準装備されなくなったが、「Apple Remote」がそれだ。赤外線ポートはMacBook Proなどほとんどの機種に装備され、iTunesなどApple Remoteでの操作に対応するアプリケーションも多い。

「Apple Remote」

 しかし、枯れた技術である赤外線方式にも限界はある。波長帯域が狭くデータ転送量が限られるため、トラックパッドのような情報量の多い入力装置への対応が難しいのだ。しかも電波の指向性が高く障害物の影響を受けやすいので、狙いを定めて操作しなければならないことも変わらない。

Appleが「Apple Remote」をMacに同梱することを止めたのは、新世代リモコン投入への予兆か?

 そして今、リモコンのあり方が変わろうとしている。ソニーが今春発売する薄型TVのBRAVIAシリーズでは、iOSおよびAndroidで動くリモコンアプリを提供、番組表の表示や録画予約など、付属のリモコンとほぼ同じ操作をスマートフォンから行なうことが可能になった。Wi-Fi経由で通信が行なわれるため、機器の設置された方向へ向けて操作する必要はない。iOS/Androidの文字入力機能を利用できるため、番組検索などの作業がラクになるという利点もある。

 なお、Dockポートに対して赤外線を発するアダプター(iOSデバイスに赤外線ポートはない)をiOSデバイスに挿し、専用アプリ経由でAV機器を制御するという「汎用リモコン」は以前から存在するが、赤外線を使う点で従来の型を脱していない。

 AV機器では、無線リモコンの新プロトコルRF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)やZigBeeという2.4GHz周波数帯を使うリモコン規格の採用事例も増えているが、サムネイルを見ながら再生する番組を選んだり、Twitterなどのサービスと連携したりといったことは、容易に機能を追加できるスマートフォンのほうが得意なはず。年内にもサービス開始が予定されているPanasonic「VIERA Tablet」のような、端末としての機能を備えたものこそが新世代のリモコンなのではなかろうか(関連記事)。

CES 2011で公開された「VIERA Tablet」。左の写真が7型モデルで、右が4型だ

(次ページへ続く)

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