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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第40回

初音ミクでハルメンズ! サエキけんぞうと7人のボカロP【後編】

2010年11月13日 12時00分更新

文● 四本淑三

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作曲家の知名度は「やっぱり」薄くなっている

サエキ 僕から皆さんにお伺いしたいんですが、リスナーの男女比はどうなんでしょうね?

デP 最初期は男性がすごく多くて、8:2で男性だったんですけど、今となっては7:3で女性が多いですね。

サエキ えーっ!

キャプミラ そうですね、イベントに行くと7:3で女の子ですね。しかも中学生とか。

「THE VOC@LOiD M@STER」。中高生の女の子も多い

デP 中学生、普通にいますね。「15歳です、好きです!」みたいに言ってくるんですよ。

キャプミラ マジですか! それはモテてますよね。僕はそんなことないです! わはははは!

サエキ 初音ミクが出てから3年経つわけですよね? 今のこの時期は、初音さんにとってどんな時期なんですか?

うどんゲルゲ いまボーカロイドといえば初音ミクなんですが、他にも色々あることが、これから知られていく段階かなと。今は3つの会社から、日本語のボーカロイドだけでも10種類以上出ていますよね。

サエキ 10種類!

キャプミラ リスナーも増えてきているんですよ。イベントをやるとそのたびにお客さんが増えていて。逆に、昔のようにディープなリスナーは減って、それこそPの名前を知らないような、ライトなリスナーが増えている。曲の作り手の存在感は薄くなっている気はしますね。

デP それは作り手が悪いんですね。自分の色を出せていないんだから。

キャプミラ そういうことだろうと思います。これから作る側がどう動くかで見え方が変わる、重要な時期だと思いますね。

デP さっきの「Pの名前を知らない」と言う話とは相反するようですが、やはり作り手が誰かは重要になってきていると思っています。3年前は初音ミクというだけで目新しくて、面白ければ多少クオリティが低くても、評価されたり伸びたりしていたんですけど。その目新しさがなくなった今、面白さとクオリティに加えて、作り手の知名度も必要になってきているんですよ。日本の聴き手の傾向なんですけど、皆が知っているものが好きじゃないですか。

カラオケ、JOYSOUNDのランキング(2010年11月第1週)。TOP10の約半数が「初音ミク」で占められている

サエキ うん、そうだね。

デP ある程度知名度のある人が作った作品じゃないと、そもそも聴いてもらえない状況ですよね。

ぶっちぎりP ボーカロイドを使う理由のひとつに、ライブパフォーマンスはできなくても音楽は作れる、というのもあります。僕なんかがそうなんですけど、ボーカロイドがなかったら歌モノはやれてなかったですね。そういう作り手の場合、音楽を作る動機が表に出て目立ちたいというものではないので、Pの名前で聴かれなくても、作品を知ってもらえば十分嬉しいですよ。

―― その辺の印象は耳ロボP、外から見ていかがですか?

耳ロボP 私はあまりボーカロイドは分からないというか……。今回のCDでボカロを使い始めたに近い状態なので。

サエキ えーっ!

―― 耳ロボPは「UTAU」というソフトを使っていて、そちらで知られている人なんですよ。

サエキ なるほど!

耳ロボP なので微妙に空気感が違うというか。(UTAU界隈に比べてボカロは)楽曲の完成度が上がっていて、作る人と、聴く人がはっきり分かれていますよね。僕は思いついたことを打ち込んで、ひょいと上げたりしたいんですけど。そういうことが埋もれてしまうのかな、という気はしています。



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