このページの本文へ

いよいよ始まる日本のIaaS-2010年版-第9回

高品質・ハイセキュリティな「ビジネスクラス」なクラウド

これがグローバルスタンダードだ!ベライゾンの「CaaS」

2010年11月10日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ベライゾンコミュニケーションズの一部門であるベライゾンビジネスが手掛けるクラウドサービスが、その名も「CaaS(Computing as a Service)」である。国際キャリアならではの堅牢ネットワークや品質やセキュリティの高さは、国内の事業者にとって大きな脅威だ。

データセンターの数は200!米国発巨大キャリアのスケール

ベライゾンビジネス グローバルサービス本部長 岡田正人氏

 ベライゾンコミュニケーションズは、AT&Tやクウェスト・コミュニケーションズと並ぶ米国きってのキャリアで、2009年度の売り上げ高は107.8億ドル(約11兆円)に達する。世界に22万2900名いる従業員は、「日本のNTTグループにほぼ匹敵する規模で、AT&Tより少し少ないくらいでしょうか」(ベライゾンビジネス グローバルサービス本部長 岡田正人氏)という規模だ。この国際キャリアであるベライゾンコミュニケーションズの事業のうち、企業向けの通信サービスやIT関連を手掛けているのが、ベライゾンビジネスである。

 ベライゾンビジネスでは全世界22カ国で、200以上のデータセンターを保有しており、すでに15年以上の実績を持っている。また、ネットワークに関しても世界最大級の大容量回線を持ち、7つの迂回経路を持つ7ウェイメッシュ技術により、きわめて高い可用性を実現しているという。「グローバルなSONETリングを持っており、台湾沖地震のような災害でも、ネットワークがダウンすることはありませんでした」(岡田氏)。

ベライゾンビジネス グローバルサービス概要

 さらに、サイバートラストの買収により、セキュリティサービスも大幅に拡充されており、脆弱性検査やPCI DSS向けサービス、フォレンジック(証拠提出)などを提供している。特に、内部統制環境を顧客や監査役にレポートとして提出する「SAS 70(Statement on Auditing Standards No.70)TYPE II」という監査基準をクリアしている点はグローバルでは大きい意味を持つ。このようにデータセンター、ネットワーク、セキュリティという3つの要素の上に成り立つ同社のクラウドサービスが「CaaS」である。

「カローラじゃない」グローバル仕様なサービス

 CaaSは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、OS・アプリケーション、セキュリティ機器、ロードバランサーを組み合わせた「仮想ファーム」を作成し、インターネットやベライゾンの回線につなぎ込むというIaaSになる。サーバーは仮想サーバーだけではなく、パフォーマンスやメモリを必要とするアプリケーションのために物理サーバーも用意されている。仮想化環境はVMware vSphereをベースに構成されており、データセンター間ではvCloudというフェデレーション技術で連携しているとのこと。もちろん、各コンポーネントは完全に冗長化されており、バックアップも標準で用意されている。

CaaSにおける仮想ファームの概念

 ユーザーからは「カスタマーマネジメント・ポータル」というWebブラウザベースのGUIから設定や管理が一元的に行なえる。実際にデモを見せてもらったが、ウィザードでサーバーのスペックを選び、DMZやTrustd Networkなどに配置すれば仮想ファームは完成。非常にシンプルで、容易だと感じられた。ゴールデンサーバーという「ひな形サーバー」を用意しておけば、簡単にクローンを作れる。もちろん、リソースの削除・更新の他、利用状況やSLAの実績、アクションログなどのレポートも生成可能だ。作成した仮想ファームには、インターネットだけではなく、同社のMPLS網にも接続できるため、顧客専用のプライベートクラウドも実現する。

仮想サーバーもウィザードから容易に作成できるウィザードで作ったサーバーをネットワークに配置する

 料金体系に関しては、サーバーやセキュリティ機器・ロードバランサーはデバイスごと、ストレージはGB単位、ネットワーク帯域はMbps単位など、リソースごとの従量課金を採用。基本料金が必要になるが、日ごとの課金で、月ごとの請求なので、まさに使った分だけ支払うという点は徹底している。「携帯電話と同じで、利用量をある程度コミットしていただくと、ディスカウントが効きます」(岡田氏)とのこと。

 CaaSのもっとも大きな特徴は、やはりサービス自体がグローバルでの利用を前提としている点。「カスタマーマネジメント・ポータルでログインし、仮想ファームを作る際に、米国、ヨーロッパ、アジア(香港)、というデータ格納場所のリージョンを選択できます」(岡田氏)という初期設定から、国内データセンター前提のクラウドサービスとコンセプトが異なることがわかる。料金もグローバルで統一された課金体系となっており、米国企業が国内進出する場合にチョイスされることが多いのも頷ける。

ウィザードでは、データをヨーロッパ、米国、アジアのどこに配置するか選択する

 もう1つの特徴は、やはりセキュリティであろう。前述したSAS 70 Type Ⅱ認定(米国)やISO 9001/27001の認定(アジア・ヨーロッパ)を受け、堅牢なハードウェア、セキュリティ制御システムを持ち、データ保存においても十分安心できる体制を構築している。これに加え、前述したWebやネットワークの脆弱性診断や情報漏えいのアセスメント、監査/コンプライアンス対策、フォレンジック、マネージドセキュリティサービスなどのオプションサービスと組み合わせることで、強固なセキュリティを実現する。クラウドへの移行でもっとも大きな懸念がセキュリティであることを考えると、こうしたサービスは大きな安心材料だ。

さまざまな認定や幅広いセキュリティサービスを用意している

SAP認定を受けている品質とプレミアム感

 対象ユーザーは、完全にエンタープライズで、特にグローバル展開している製造業や金融機関、サービスプロバイダになる。しかも、軽量なWebやフロント業務だけでなく、基幹業務での利用も増えているとのこと。SAPのグローバル認定を受けているクラウドサービスもCaaSくらいだ。「Amazonのようにクレジットカードで利用できるサービスではなく、価格も『カローラのような』リーズナブルさはありません」(岡田氏)という一見さんお断りで、「ビジネスクラス」なサービスだが、国際キャリアならではの唯一無比のプレミアムな価値を提供するのがCaaSといえる。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この特集の記事

ASCII.jp特設サイト

クラウド連載/すっきりわかった仮想化技術

ピックアップ