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いよいよ始まる日本のIaaS-2010年版-第14回

圧倒的なコストパフォーマンスと高い可用性に敵はなし?

IIJ GIOを支えるのは10年の実績と自社開発技術

2011年01月17日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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インフラ、プラットフォーム、アプリケーションなどあらゆるレイヤにおいて幅広くクラウドサービスを展開するのが、インターネットイニシアティブ(IIJ)だ。同社の「IIJ GIO」はITシステムのサービス化を追い求め続けた同社のサービスの集大成といえる。

基幹システムを預かり続けて10年あまり

 IIJ GIOのベースとなっているのは、2000年2月に開始した「IBPS」というリソースオンデマンドのサービスである。もともとIBPSはコマースサイトが乱立していた1990年代後半、同一構成のコマースサイトのシステムを効率的に運営しようと立ち上げたもの。同一のサーバー、OS、ハードウェアなどをあらかじめ構成しておき、アプリケーションだけ追加するようにしたという「標準化」が同サービスのスタートだ。

IIJ GIOマーケティング部長 小川晋平氏

 クラウドという言葉がない頃に立ち上げたこのIBPSは、1社あたり50台くらいのサーバーを持っている大規模な顧客向けで、ミッションクリティカルなシステムを対象としていた。IBPS時代からこうしたリソースオンデマンドサービスを手掛けてきたIIJ GIOマーケティング部長 小川晋平氏は、「NTTドコモ様は新機種の販売のたびにトラフィックが増えますし、サッポロビール様は箱根駅伝のサイトを数ヶ月間だけのために立ち上げます。こうしたトラフィック増をボタン1つでリソースを調整できるのです」と、ユーザー事例を挙げてIBPSの特徴を説明する。

 その後、今まで手作業や他社ソフトウェア等で行なってきたツールを内製したり、監視システムも自作した。ツールの内製化によりシステム構築や運用の自動化が進み、コスト削減や省力化が実現されてきた。結果として、基幹システム向けの高価なサービスが、コモディティ化されたサービスに進化していったという。

 このIBPSをクラウドサービスの勃興にあわせてリブランディングしたのが、2009年12月に発表された「IIJ GIO」である。豊富なITリソースを自由に組み合わせ、ユーザーの必要なシステムに仕立て上げられる。しかも自動化された基盤とITリソースの大規模調達により、圧倒的な低価格で利用できる。結果として、システムを所有しない「持たざるIT」を実現する。これがIIJ GIOだ。

 もちろん、IIJ GIOは単なるリブランディングだけではなく、同社が培ってきたさまざまなクラウド向け技術が、おしみなく投入されている。たとえば、大容量データをP2Pのアーキテクチャで分散処理するddd(distributed database daemon)+MapReduce、数千台のホストをITリソースとして集約・制御するNHN(Next Host Network)などである。各ITリソースはすべてAPIを介して操作され、リソースの割り当てを行なうプロビジョニングや物理から仮想までの監視、システムの構成管理などがAPI経由で自動制御されている。これらはすべてIIJで自社開発されているという点は、IIJ GIOの強力なオリジナリティといえる。

 IIJは、こうした技術力と運用・管理ノウハウにより、ユーザーのITシステムを預かるという敷居の高い仕事で長年実績を上げてきた。小川氏は「パブリッククラウドに基幹システムを預けられないという声も聞こえますが、私たちは基幹システムを10年に渡って預かっています」と過去の実績を強調する。

1000通りを越えるコンポーネントで柔軟にシステム構築

 IIJ GIOはサーバー、ストレージ、ネットワークといったインフラ系のITリソースはもちろん、ホスティング、ストレージ、Microsoftオフィス、開発環境パッケージなどのプラットフォーム、あるいは「サイボウズガルーン」のようなグループウェアや「INVITO」のようなモバイルCRMなどのアプリケーションまで幅広いレイヤでのサービスが用意されている。

IIJ GIOはIaaSからSaaSまで、あらゆるレイヤで提供される包括的なクラウドサービス

 そして、今回メインのインフラ関係では、必要な構成が決まっている「プラットフォームサービス」と複雑な構成までカバーできる「コンポーネントサービス」の2種類がある。

 プラットフォームサービスは、「IIJ GIOホスティングパッケージ」や「IIJ GIOストレージサービス」が用意されている。IIJ GIOホスティングパッケージは仮想サーバーとインターネットがセットになっており、ベーシック、Web、モバイルWeb、LAMP、セキュアメールなどのプランが用意されている。仮想サーバーのスペックによりいくつかのグレードが用意されており、もっともベーシックなV10は月額4000円。日額133円でも利用できるというのが、クラウドらしい。

 また、「IIJ GIOストレージ」というサービスも用意している。1TBからのスタートになり、料金は8万円/月。同社が全国で抱える15カ所のデータセンターのなかの4カ所にデータは分散設置されており、「今後は完全性検査や暗号化、時刻認証やラベリングなどセキュリティ面の付加価値を加えていきます」(小川氏)とより拡張される予定だ。

 一方、コンポーネントサービスは仮想タイプの「Vシリーズ」、専有タイプの「Xシリーズ」、個別という3種類のベースサーバに、ネットワーク、ストレージ、モニタリング・オペレーションなどを組み合わせる。VシリーズとXシリーズはクラスタ構成が用意されているほか、Oracle、SQL Server、MySQLなどのRDBMSを搭載したDBサーバも提供している。サーバーに関しては、仮想サーバーだけではなく、ホスティングにあたる専有サーバー、持ち込み(コロケーション)、さらに物理サーバー上のハイパーバイザー提供まで柔軟に対応。月額8000円からという低廉な料金も大きな魅力だ。

ベースサーバにさまざまなオプションを組み合わせるコンポーネントサービス

 ベースサーバに組み合わせるアドオンは非常に豊富。ネットワークに関してはインターネット、VPN、リモートアクセス、ファイアウォール、ロードバランサー、WAFまで用意されている。ストレージやモニタリング・オペレーションまで細かくメニュー化されており、システム監視レベルもIPアドレス、URL、ポート、プロセス単位まできめ細かく選べる。これら1000を越えるコンポーネントを自由に組み合わせ、ユーザーに最適なシステムを提供する自由度の高さがIIJ GIOの売りだ。

1000通りを越える組み合わせを実現する高い柔軟性が売り

 これらのサービスの仮想化インフラは、Xenをカスタマイズしたものを使っており、顧客にあわせてVMwareやHyper-Vも提供している。セキュリティには特に配慮されており、まず運用基盤自体がクレジットカード会社の国際セキュリティ規格であるPCI DSSに準拠している。利用者間でのネットワークはVLANで隔離するほか、アプリケーションやIDS、ネットワークなどのトラフィックログも一元的に集約され、リアリタイムに解析されるという。

低廉なコストと高い可用性

 IIJ GIOの強みは、低廉なコストと実績ベースで99.99%以上の可用性だという。「10年やっているなかで徹底的に内製していますし、自動化・標準化を進めているので、コストは下がっています。ネットワーク自前なので調達コストも廉価です」ということで、実績の高さがそのまま低廉なコストにつながっている。他社だと個別見積もりになるところが、きちんとメニュー化されているというのもIIJ GIOの特徴。「部品ごとに値段が決まっているので、お客さんでも見積もれます。ただ、コンペになると勝てる価格になっています」(小川氏)と自信を隠さない。

 また、マルチベンダーというのも特徴。「特定のグループに依存しないニュートラルなキャリアなので、いろいろな回線を選べます」(小川氏)とのことで、特定の通信事業者に依存せず、幅広く足回りを選べる。

 さらにプライベートとパブリックの垣根が取り払われているのも、IIJ GIOのメリットといえる。社内ネットワークのプライベートアドレス環境をそのままIIJ GIOに移せるため、ユーザーからは社内か、社外か、はたまたプライベートか、パブリックかを意識しないで済む。実際のユーザー事例でも、社内セグメントをIIJ GIOのデータセンターに移して、利用している例が見受けられるという。

 小川氏は、もはや情シスはインフラ管理に負荷をかけるべきではないと考える。「インフラに関しては手離れよくIIJ GIOで運営を任せてもらい、情シスはよりビジネスや戦略を練ってほしいと思います」(小川氏)と語る。

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