編集者から華麗なる転身
2000年に慶應版「Facebook」立ち上げた文系女子
2010年11月03日 09時00分更新
鋭い視点で先を見据えた創造性は“ネットの匠”にふさわしい。そこで「ネットに生きる現代の匠"CTO・エンジニア"に聞く」第3回は、アクセス解析ツールなどを提供する早稲田大学発の技術系ベンチャー企業・ユーザーローカルで企画・開発を担当する閑歳孝子氏に話を伺った。日経BP社で記者と編集者を経験したのち、Web系ベンチャー企業に転職し、2008年から現職に就くという経歴を持つ同氏は、どのような視点でサービスを生み出しているのだろうか。
閑歳氏の7つ道具と生活スタイルに迫る
── 仕事に欠かせない7つ道具を教えてください。
(紹介していただいたのは、iPhoneとAndroid端末のNexus One、国内メーカー製携帯電話、Pocket Wi-Fiに、Mac、森永乳業のマウントレーニア カフェラッテエスプレッソ、そして、砂時計の7つ)
閑歳 メインのケータイはiPhoneで、あとは動作チェックに使っています。また通勤の電車内でもノートPCで作業する場合が多いので、どこでもネットにつながるPocket Wi-Fiは欠かせません。
パソコンはWindowsから入ったんですけど、今はMacしか使っていません。検証するときは隣に座っている人のWindowsマシンを借りているので、自分用はMacだけで事足りている感じです。
最後の砂時計ですが、これだけは実用とはちょっと違って、お守りみたいなものなんです。
大学の研究室ですごくお世話になった先生に卒業祝いでいただいたものなんです。研究室でよく「3分間だけでアイディアを出してみんなで発表する」ということをやっていたので、その当時の気持ちを忘れないようにとずっと持ち続けています。
── 次に1日のスケジュールですが、休日もかなり活発に活動されていますね。
閑歳 何もない休日だと10時くらいに起きて掃除している間にお昼になっちゃったりしますけどね(笑)。ただ、Twitterで交流するようになってから、こういうイベントの参加も増えてきた気がします。誘ってくれるわけじゃなくても、タイムライン上に興味のあるイベントの情報が表示されたりしますからね。
仕事の日は、技術的な問い合わせの対応を午前中にして、午後から開発というパターンが多い気がします。
素の自分を出したらディレクション側に立っていた
── 現在は仕事でもプライベートでも様々なサービスを開発されていますが、この世界に興味を持ったのはいつ頃からですか?
閑歳 たしか小学校3~4年の頃、親がワープロを買ってきたのが最初です。キーをたたいて文字や絵がかけるのが楽しくてすぐハマりました。そのうち電話線をつなげば通信できるということも知って、当時各地で広がっていた草の根チャットにアクセスしてみたんです。
そのときは「つないでも誰もいない」という寂しい状況でしたが、高校2年で自腹でパソコンを買った頃はパソコン通信が流行していて、ニフティサーブで全国の人とやりとりしたりアプリをダウンロードしたりと、大いに楽しみました。
自分の住んでいる地域や高校といった枠がなくコミュニケーションできることに、もの凄い衝撃を受けたのを覚えています。
── その体験が、慶應義塾大学での学内SNS「SFC★MODE」の開発につながったわけですね。
閑歳 進路自体も変わりましたからね。昔は獣医になろうと考えていたんですけど、大学受験の頃には「こっちの道に行こう」となっていて(笑)。
大学生活も、周りにプログラミングがすごくできる人と、私みたいにまったくできない人がいて、そういう能力の隔たりがあるのが面白かったです。何より、高校までは堂々と言えない雰囲気だった、プログラミング好きという嗜好を晒して、素の自分が開放できたのが楽しかったです。
ただ、のめり込んだといってもプログラムを書きたいという感じではなく、「こういうサービスをやったら面白いかも」と提案したりするディレクターみたいな立場で活動していたと思います。友達と一緒にベンチャーをやったり4年次に「SFC★MODE」を作ったときもそうです。その意識は今も変わらないと思います。

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