スパムのゴミをろ過する秘訣は何!?
「30min.」はなぜスパムが混ざらないのか?
2010年11月17日 09時00分更新
サンゼロミニッツは、タウン情報サイト「30min.」を運営するITベンチャー。社名は、およそ30分圏内の情報が検索・収集できるところに由来する。地域情報を発信する膨大な数のブログを解析し、ユーザーが見たい地域の店舗や施設に関する口コミ情報をまとめて知らせてくれるサービスを展開し、同種のサービスのなかでも著しい成長を遂げている。
その原動力となっているのは、スパムなどのノイズがほとんど混ざらない高い精度のブログ解析技術。指揮を執るのは、代表取締役社長の谷郷元昭氏とともに二人三脚でサービスを育ててきた、代表取締役CTOの野々村範之氏だ。「ネットに生きる現代の匠“CTO・エンジニア”に聞く」第4回は、野々村CTOに現在までの道のりと今度の展望を伺った。
タウン情報サイト「30min.」
ブログから街の話題を探せるタウン情報サイト。地域情報を発信する8000以上のブログをインデックスし、独自のセマンティック(意味解析)技術によりブログ記事の内容を自動解析することで、ブログが発信するタウン情報を地域や店舗ごとに閲覧できる。例えば、職場や自宅から近場(30分圏内など)の情報収集に便利なウェブサービスとなっている。
ITの道に照準を定めたのは大学に入学してから
── ウェブサービスの世界で仕事をしていこうと考えたのはいつ頃からでしょう。
野々村 大学生の頃ですね。入学した1997年はちょうどインターネットの色々なサービスが出てきた頃で、私もフリーの掲示板で友達と交流したり、自分のウェブサイトを作ったりして遊んでいたんですよ。
そのうちにこの業界に興味を持つようになり、在学中からエンジニアのバイトを始めて、そのままバイト先に就職したという流れです。だから、就職活動は一切やっていないんですよね。
── その後、現在はサンゼロミニッツの株主にもなっているアエリアに転職されたわけですね。
野々村 卒業してから2年弱で転職しました。そこでしばらくは受託開発のエンジニアをしていました。クライアントから注文を受けたサービスを開発するという感じでやっていたんですが、幸運なことに会社がどんどん成長していって、2004年12月に上場しました。
ただ、上場したということは、会社が要求する売り上げ目標も当然高くなります。会社からも、受託開発のままでは限界があるからもっとアッパーサイドを狙えと指示されまして、2006年頃に新規事業を立ち上げるための子会社まで用意してもらいました。
谷郷氏と弱点を補間しあって30min.を完成させた
── 新規事業で求められるスキルは、今までと違いますよね。
野々村 そうですね。言われたことのニュアンスを汲み取って作ることは慣れているんですけど、企画を立てていくような経験は全然なかったですから。子会社も箱があって私ひとりがいるという感じで、複数人のチームを回して何かやるという具体的な着想もできず、なかなかうまくいきませんでした。
── 30min.のアイデアはその頃に生まれたんですか?
野々村 地域情報サービスをやろうという思いは企画を考えているうちに浮かびました。そこからようやく類似サービスを調べるようになって、マッシュアップサービスみたいなものを作っていったんです。
しかし、そこで好評を得られたとしても、それをどうビジネスに結びつけるかいまいち見えてこない。谷郷と一緒になるようになってからですね、30min.の具体的な構想ができあがったのは。
── どんな経緯でチームを組んだのでしょう。
野々村 谷郷がアエリアの仕事を手伝いながら、新規事業として地域情報サービスを考えていました。そちらもうまくいっていなくて、なら一緒にやろうかということになったんです。2007年末頃だったと思います。
谷郷は、ビジネスにするアイデアができていたんですが、それを開発会社に伝えるときにどうも意思の疎通ができないというところで悩んでいたみたいです。
── 谷郷さんのアイデアを受けて野々村さんが作る。お互いの弱いところが補間されたわけですね。
野々村 はい。私はブログの記事を解析するアイデアをすでに持っていたので、谷郷のアイデアを受けてプロトタイプを作ってみたんです。
東京と神奈川くらいのエリアでブログを集めて、店名や地名のデータベースをあててみて、ちゃんと地域ごとに該当するブログ情報が抽出されるかと。すると、思った以上の精度で動いたので、初めて「これはちょっといけるな」という感触を得ました。それで、現在のサンゼロミニッツの体制を作ったのが2008年4月です。

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