このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Microsoft Tech・Ed基調講演レポート

マイクロソフトが語るWindows Azure時代のエンジニア像

2010年08月26日 09時00分更新

文● 渡邉利和

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

8月25日、マイクロソフトの技術者向けコンファレンス「Tech・Ed Japan」が開幕した。27日までの3日間の日程で、7つのトラック、100もの技術セッションで構成される。初日の午前は、「現実解としてのクラウドを支える最新テクノロジ」と題した基調講演が行なわれた。

現実解となったクラウド

 基調講演に登壇したマイクロソフトの執行役 デベロッパー&プラットフォーム 統括本部長の大場 章弘氏は、冒頭で同社のクラウドに関する取り組みの原点は2006年に同社Chief Software Architectのレイ・オジー氏が作成したメモから始まったことを改めて紹介した。当時は“S+S”(Software plus Service)として紹介されたコンセプトだったが、これがまさに同社にとってのクラウド時代の始まりだったわけだ。

マイクロソフトの執行役 デベロッパー&プラットフォーム 統括本部長 大場 章弘氏

 動きの速いIT業界ではあるが、たった4年でクラウドOSである“Windows Azure”から、サーバソフトウェアのクラウド型提供となる“Microsoft Online Services”、無償のオンライン/アプリケーションとして提供される“Microsoft Office Web Apps”など、体系的かつ網羅的な対応を実現したのはやはり同社の開発力が業界でもトップレベルを維持していることの証拠ともいえそうだ。

 Tech・Edは開発者向けのイベントということもあって、「クラウド」をメインテーマに据えたなかでも、特にWindows Azureが主役となっていた。大場氏は、レイ・オジー氏によるコンセプト発表から2年後の2008年に開催されたPDC(Professional Developers Conference)でWindows Azureが発表され、日本でも今年2月に開催されたTech・Days 2010のタイミングでWindows Azureのサービスが提供された、という流れを振り返りながら、Tech・Days 2010から半年後の今、すでにWindows Azureが「現実解」となっている現状を強調した。

レイ・オジー氏のメモからWindows Azureの誕生。そして現実解へ

 同氏は、基調講演の中でさまざまなWindows Azure活用事例を紹介し、またゲストを招いてWindows Azureに関する取り組みについて直接説明してもらう時間を作るなどして、Windows Azureが「将来の技術」ではなく、現時点ですでに有効に活用されているインフラであることを示した。

2011年はこうなる!テクノロジの紹介

 続いて同氏は、「クラウドの進化を加速するテクノロジー」として、2011年以降の登場が予想される新技術の紹介を行なった。取り上げられたのは、“Project Dallas”(コード名)、Windows Azure上での大規模並列処理、Internet Explorer 9、Windows Phone 7、ビジネスアプリケーションの自動生成ツールともいうべきVisual Studio “LightSwitch”といった技術だ。

クラウドテクノロジのロードマップ。今回デモが紹介されたのが「2011年以降」とされたテクノロジ群

 そして、もっともTech・Edらしいデモだと感じられたのはWindows Phone 7に関するもので、Windows Phone 7上にTwitterクライアントアプリケーションをその場で実装して見せたものだ。シミュレーション環境上でアプリケーションをコーディングして動作させた後、検証用の実機で動作するところを見せる、というものだったが、Windows Phone 7のアプリケーションプラットフォームがSilverligntになっていることから、開発者にとってはすでに馴染みのある手法で迅速に開発できることが実感できるデモとなっていた。

Internet Explorer 9の特徴

 また、Internet Explorer 9では、HTML5などの新しいWeb標準への準拠も話題になっているが、新しいJavaScriptエンジン「Chakra」を内蔵したことで大幅な高速化が図られたことが取り上げられた。このJavaScriptエンジンはマルチコアプロセッサに対応したもので、「IEより高速なWebブラウザ」としてよく言及されるOperaやGoogle Chromeよりもアニメーション描画がはるかに高速であることがデモで紹介された。これは熱帯魚の画像をJavaScriptでアニメーション表示させて泳がせ、熱帯魚の数を増やしていくと、IE9では100匹でもスムーズに素早く泳ぎ回るが、Chromeではほとんど動かなくなってしまう、という状況は静止画ではわからないわけだが、それぞれのウィンドウ左上に表示されたフレームレートのグラフを比べれば画面書き換えの速度の差から動きの違いが想像できるのではないだろうか。

JavaScriptの高速性能のデモ。左がIE9で、右がChrome 5


横浜港でWindows Azureユーザー会がキックオフ!

 Tech・Edが開催されたパシフィコ横浜のすぐそばで、2日目(8月26日)の夜にWindows Azure Community発足イベントが開催された。「Japan Windows Azure User Group」(略称:JAZ、Twitterのハッシュタグは「#jazug」)と名付けられたこのコミュニティは、マイクロソフト以外のWindows Azure関連企業に務める6名が発起人となり、日本でのWindows Azure普及促進のためにさまざまなイベントを企画・開催していくという。

 その発起人の一人、酒井氏に話を聞いた(以下敬称略)。(文:編集部)

―― Windows Azureに関わったのはいつごろですか?

酒井 2年前にWindows Azureの名前が発表されたときから関わっていました。当時、AWS(Amazon Web Service)やGoogle Appsなどが取りざたされた時期ですが、AWSは「VM(Virtual Machine)を渡されて、さあ自由に使ってください」と管理から任されるような印象で、それに比べてWindows Azureは(開発者にとって)効率がいいと感じていました。OSのパッチ管理もインフラ周りもマイクロソフトに任せてしまえるので、開発に専念して短期間にサービスを仕上げられると思います。

―― Windows Azureを選ぶメリットはどこにありますか?

酒井 特に開発者にフレンドリーで、情報が豊富に入手できるところです。英語であればちょっと検索するだけですぐにたどり着けます。ただ、日本語で情報を求める場合は、単に言葉を日本語に直すだけでなく、日本の商習慣に合わせる必要がありますね。このあたりをユーザーグループでもフォローしていければと考えています。

―― このユーザーグループには、どんな方が参加されていますか? やはり開発者が多いのでしょうか?

酒井 このキックオフの中で行なわれているLT(Lightening Talk=規定の短時間に主張や成果を聴衆にアピールするイベント)を見ても分かるとおり、開発者だけでなくデザイナーやインフラ周りを担当する方も含まれています。クラウドに興味がある程度のゆるふわな方から、かっちりビジネスしたい方まで幅広く参加していただきたいですね。経営者にも参加していただき、Windows Azureにどんな使い方やメリットがあるか、みんなで知恵を出し合っていければいいな、と。

―― 酒井さんご自身が務める会社でも、Windows Azureを提供・販売されていると思いますが、主にどんな方に勧めていますか?

酒井 日本の場合、事実上AWSとWindows Azureの二択になっています。特にSLA(Service Level Agreement、サービスの品質保証)を重視する方にはWindows Azureがメリットが大きいと思います。また、.NETプログラムの資産をお持ちの方ですね。Windows Azureは指名買いの方が多いようです。一方のAWSは、インフラ周りを含めて自分で面倒を見たい、Javaプログラムをメインに扱われている方ですね。

―― なるほど、ありがとうございました。



(次ページ、クラウド時代のIT技術者の役割)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

ピックアップ