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Microsoft Tech・Ed基調講演レポート

マイクロソフトが語るWindows Azure時代のエンジニア像

2010年08月26日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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クラウド時代のIT技術者の役割

 大場氏が最後に語ったのは、「クラウド時代に求められるIT技術者の役割」についてだ。同氏は、「従来型IT」での技術者の役割として「ハード、ソフトの購入」「バージョンアップ」「チューニング」「バックアップ/リストア」「トラブル切り分け」「納品時の検品」「バックログ」「外注管理」といった項目を挙げた。一方、「クラウド時代」には「基本的な管理業務の効率化」「ツール、テクノロジーの進化」「コンピューティングリソースのコモディティ化」「より使いやすく、ニーズの変化に素早く対応できるシステム開発」「より高度なIT全体設計」といった状況になることから、「IT技術者の進化がクラウド実装のカギに」なるとした。

大場氏が示した、IT技術者の役割の変化

 基調講演で紹介された活用事例やテクノロジー/デモなどが、多くは「クラウドサービス」に属するものだったということもあり、正直なところ開発者カンファレンスということでイメージされる内容とはやや離れていたような感もあった。大場氏が語るように、IT技術者も進化する必要があり、求められる“技術”の内容も、従来のような「ITの技術内容自体に精通している」ことから、「ITを利活用するノウハウを持っている」ことに変わってくるということなのかもしれない。しかしながら、大変革の時期には当然のこととはいえ、来場者の多くがその変化を進んで受け入れる気持ちになっているようには見えなかったのも事実である。

 以前、マイクロソフトが製品技術中心のTech・Edを開催していた時代の基調講演で、新製品/新技術を紹介するたびに起こったどよめきが今回はほとんど起こらず、淡々と進んだように感じられたのも、まだマイクロソフトと開発者の間の認識のギャップが大きいことの表われのように思えてならない。マイクロソフトといえば、WindowsやOfficeがまず思い浮かぶが、実はVisual Studioを中心とした開発ツールの分野でも業界をリードする企業であり、製品自体もさることながら、製品を取り巻く分厚い開発者層の存在が同社の強みとなっている。この強みをクラウド時代にも活かしていくためには、同社には「クラウド時代の開発者像」を明確化するとともに、現在の開発者層が新時代の役割に魅力を感じて積極的に移行しようと思うようなメッセージングをより強化する必要があるようにも思われる。

 なおTech・Ed 2010は神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて、8月27日まで開催される。

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