本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説をあますことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けをはじめ、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
暑い、というより熱い日が続きますね。皆さんは、マウスやトラックパッドを使う時どうしています? 私は汗かきなもので、どうしても手がペタペタしてしまいますから、Magic Mouseのかたわらには常におしぼりを置いています。Magic Trackpadですか? 指先が思いどおりに滑らない状況下、使えるわけがないじゃありませんか(泣)。
さて、今回は「WebKit」について。同プロジェクトのWebサイトではソースコードが公開され、メーリングリストなどのツールを利用したオープンな開発者コミュニティが存在する、Apple発のオープンソースソフトウェアでは代表格といっていい存在だ。その開発ペースは速く、HTML5の実装を積極的に進めるなどの“勢い”も買われてか、Google ChromeやAdobe AIRなど多くのプロダクトにエンジンとして採用されている。そのWebKitが日本時間の8月6日未明にアップデート、大幅な機能向上が見られたため、新機能を中心に紹介してみよう。
SVGサポートが強化
Appleが外部のオープンソースプロジェクトに対し常に“受け身”かといえば、必ずしもそうではない。SafariのHTMLレンダリングエンジン「WebKit」、RubyをCocoa/Objective-C上に実装した「MacRuby」が好例だろう。
WebKitは、Safariとしてリリースされるまで新機能の情報が明らかにされないこともあるが、公式ブログ「Surfin' Safari」は要チェックだ。この原稿を書いている最中に、最新のコードがNightly Build(ブラウザーとして実行可能な開発版)に反映され、r64727として公開された(8月8日現在の最新版は「WebKit r64889」)。
このr64727、直前のNightly Buildから大きく変化している。わかりやすいところでは、文中でのSVGの表示(embed SVG)のサポート。svgタグを使うことで、ページ中の任意の位置にSVGイメージを描画することが可能になったのだ。r64727のWebKitを使い、Surfin' Safariのエントリ「The HTML5 Parsing Algorithm」にアクセスし、どのように表示されるか実際に試してほしい。
ちなみに、WebKit r64727における前進は、HTML5解析アルゴリズムの改良によるものだ。HTML5以前は、標準仕様に準拠していないHTMLを解析するにあたっての明確な基準がなく、非互換性が生じる一因となっていたが、このr64727ではHTML5の厳格な解析アルゴリズムを実装することにより、他のブラウザーとの相互運用性向上を実現している。embed SVGも、この解析アルゴリズム改良により可能になったとのことだ。

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