去る7月12日に、「Windows 7 Service Pack 1」(SP1)のパブリックβ版が公開された。そこで今回は、このWindows 7 SP1で予定される変更点について解説しよう。
なお、本稿の記述はβ版を元にしたものであり、正式版では変更される可能性がある。また、β版はあくまで開発者・テスター向けに公開されたものなので、一般ユーザーはインストールしない方がいい。
ホームユーザーにとっては、大きな機能追加はなし
Windows 7 SP1は、Windows Vista SP1(以下Vista SP1)とは異なり、新機能の追加などはほとんどない。Windows 7 SP1は、Windows Updateで提供されている修正プログラムや、特定の環境で発生する障害に対処するホットフィックスなど、修正プログラムが中心となっている。
だからVista SP1のように、Windows 7 SP1を導入することで「大幅にパフォーマンスが上がる」ということはまったくない。また、バグフィックスに関しても、昨秋のWindows 7リリース以降に提供されたものをまとめて提供している。
その意味では、Windows 7 SP1がリリースされたとしても、今まできちんとWindows Updateでの更新を適用していたのなら、急いでインストールする必要はあまりない。また逆に、「SP1がリリースされるのを待ってからWindows 7に移行しよう」というのも意味がない。Windows 7の完成度は高いため、今すぐWindows 7に移行しても問題はない。
ちなみに、Windows 7 SP1のファイルサイズは、32bit版(x86版)が約23MB、64bit版(x64版)は約45MB。サイズから見ても、それほど大幅な修正ではない。
新機能はSandy Bridgeの「AVX」への対応
大きな機能追加はないWindows 7 SP1だが、それでもいくつかの新機能が追加されている。ホームユーザーにとっての目玉は、インテルの次世代CPU「Sandy Bridge」に搭載される「AVX」(Advanced Vector Extensions)の命令セットをサポートしたことだ。AVXは、SSE命令を大幅に強化した256bitのベクトル演算命令である。256bitに命令が拡張されているため、既存のSSEとは互換性がない。
Windows 7 SP1でAVX命令がサポートされるということは、OSがAVX命令を認識して、動作させるための基盤を提供する、ということだ。Sandy Bridge搭載パソコンにWindows 7 SP1をインストールしても、OSがAVX命令を使用して大幅にパフォーマンスが上がる……わけではない。AVX命令を使用したアプリケーションを動かすための基盤が提供されたということだ。

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