マイクロソフトは12日(現地時間)、米国ラスベガスで開催されたウェブ開発者向け国際会議「MIX11」で、次期Internet Explorerこと「Internet Explorer 10」の開発者向けプレビュー版「Platform Preview 1」(以下IE10PP1)を発表した。
大震災の影響で、日本ではInternet Explorer 9(IE9)さえもリリースされていないのに、「もうIE10か!?」と思う人も多いだろう。MIXというイベントは、ウェブ開発者に向けたカンファレンスである。そのためウェブデザイナーやウェブ開発者にとって最も影響が大きなInternet Explorerのアップデートは、MIXで発表するのが通例になっている。IE9も2010年のMIX10で、Platform Previewが公開された。IE10PP1の発表もこれにならったものだ。
なおIE10PP1は今のところ、Windows 7でしか動作しない。最終的な正式版のサポートOSがどうなるかは不明だ。
IE10ではCSS3のサポートをさらに強化
IE10PP1の改良点は、IE9でサポートされなかった「CSS3 Grid」や「Flexbox」、「CSS3 Multi-Column」、「ECMAScript 5 Strict Mode」などの機能が追加された点にある。
CSS3 GridやFlexboxは、ウェブブラウザーのウインドウサイズが変更された際に、レイアウトを自動的に変更してウェブデザイナーの意図どおりにページを表示する機能だ。例えば、ウェブブラウザーのウインドウサイズが小さくなっても、GridやFlexBoxでレイアウトされていれば、ボタンのサイズを小さくしたり、Gridで分割されたブロックの位置を変更して対応できる。
またCSS3 Multi-Columnは、ウェブサイトの段組表示を変更する機能だ。例えばウィンドサイズが小さくなった際に、それに合わせて3段組表示を2段組に変えたり、段組は維持したまま1行の文字数を少なくしたりといった、動的な表示変更が可能だ。
これらの機能を使えば、ウェブブラウザーの画面サイズが変わっても、縦横のスクロールを使って表示したり、ページ全体を縮小表示したりすることもなくなる。この機能を使って作成されたウェブサイトは、どんな表示サイズのウェブブラウザーでも、同じコードを使って対応できる。
マイクロソフトがIE10でこのような機能追加を計画しているのは、HTML5に対応したサイトを作成しておけば、パソコンでもスマートフォンでも、すべて同じコードで対応できるようにするためだ。今までのように、デバイスの違いでウェブサイトを作り直す手間と時間をなくそうというわけだ。

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