マイクロソフトの次世代ウェブブラウザー「Internet Explorer 9」(IE9)の製品候補版(IE9 RC)がリリースされてから3週間ほど経った。リリース後の検証により、IE9はFirefoxやChromeを超える、ウェブ標準への互換性と性能を持っていることがわかってきた。
特にHTML5への高い互換性と、マルチコアCPUに対応したJavaScriptエンジンが目を引くほか、GPUのパワーを使うことで、グラフィック性能をIE8から一桁向上している。今回はIE9 RCの互換性と性能をテストしてみる。
HTML5などのスタンダード規格に
完全な互換性を実現
マイクロソフトはIE8から、ウェブ標準規格に対する互換性を命題にしている。それでもIE8では完全な互換性までは実現されておらず、道半ばだった。
IE9 RCでは、現在β版がリリースされているFirefoxやChromeよりも高い互換性が実現されている。実際IE9 RCは、HTML5やJavaScriptなどの互換性を検証する、さまざまなテストプログラムで高い互換性を実現している。マイクロソフトは目標として、すべての互換性テストプログラムで100%の互換性を実現したいという。
まずHTML5の互換性については、HTML規格を策定している「World Wide Web Consortium」(W3C)が互換性テストを提供している。ただし現在はテスト自体が開発途中のため、テスト項目が徐々に増えている状況だ。
W3Cが公開しているテスト結果では、IE9 RCの互換性の高さがよくわかる。テストされたブラウザーとしては、IE9 RCのほかに「Chrome 9.0.597.94」と「Firefox 4.0 Beta11」、「WebKit Nightly Build r70732」(Safariのレンダリングエンジン)などが挙げられている。
W3Cの互換性テストでは大別して、「Attributes」「Audio」「Video」「Canvas」「Foreign Content」「GetElementsByClassName」「XHTML」の7項目をチェックしている。これらのテストで、IE9 RCは4項目で100%の互換性を実現している。FirefoxとWebKitも4項目で100%の互換性となっている。
ただし、100%に達していない項目の値を見てみると、IE9 RCは80~90%近い数字をクリアしている。一方のFirefoxは70~80%、WebKitはXHTML項目が40%ほどしか対応していないなど、少なからず差がある。またChromeは100%の項目が3つで、XHTML項目は50%程度だった。
W3Cのテストプログラムも開発途中のため最終版ではないが、IE9が正式版になれば、すべてのテストを完全にパスするだろう。現時点ではパスしていない項目も、もう少しチューニングすれば100%に近づくというレベルだ。このことからも、IE9はW3C規格に従ったウェブブラウザーといえる。
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