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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第59回

i4004から486世代まで インテルCPUを一気に振り返る

2010年07月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/)

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386世代から486世代までのインテルCPUロードマップ

386世代から486世代までのインテルCPUロードマップ

高性能化を重視した486世代 派生品も多数登場

 これに続いて、1989年4月にリリースされたのが「i486DX」(i80486DX)である。386世代は複雑になった命令体系を、マイクロコードを利用することで効果的に実装できたが、そのためにどうしても処理が遅いという問題が出てきた。そこでi486DXはマイクロコードの利用率を減らし、主要な命令はすべてハードワイヤード(物理的な回路で実装)とすることで高速動作を実現したものだ。

 i486DXの製品は当初、1μmのCMOSで製造され33MHz動作だった。1991年には0.8μmプロセスに移行し、50MHz動作の製品がリリースされる。これに続き1992年には、倍速動作で66MHzをサポートした「i486DX2」がリリースされ、さらに1994年には、0.6μm biCMOSを使って100MHz動作を可能にした「IntelDX4」もリリースされる。

 またこの486系は、インテルとしては初めてオンチップでキャッシュメモリーを内蔵した製品であったが、IntelDX4まではライトスルー方式のみをサポートしていた。ここに初めてライトバック方式のキャッシュをサポートしたのが、1994年10月にリリースされた「IntelDX4WB」である。

 さてこの486もまた、派生型が多い。まずi486DXをベースに電力管理機能を追加した「i486DX-S」なる製品が、1989年からi486DXと並行して投入されている。これの後継が1992年11月に投入された「i486SL」で、省電力化も図られている。当初は33MHz製品のみだったが、後でプロセスを微細化した50MHz品もあった。これと同時に「i486DXL」という製品もあり、こちらはi486DX-Sとは異なる電力管理機能を搭載していた。

 また1991年9月には、内蔵するFPU(浮動小数点演算ユニット)を無効化した「i486SX」もリリースされる。このi486SXは通常、マザーボード上に直接搭載される形で出荷されて、アップグレード用に「i487SX」(ようするにFPUを殺していないi486SX≒i486DX)のソケットが脇に装備されるという、冷静に考えるとひどく無駄な構成が通用していた時期もあった。

 このi486SXも、その後i486DX2のリリースにあわせて、1994年3月に「i486SX2」が出荷される。またIntelDX4WBにあわせて、i486DX2にライトバックキャッシュを搭載した「P24D」コアの「i486DX2WB」も、同じく1994年10月にリリースされた。

 これらとは別に、「Over Drive Processor」(ODP)という名前で、i486DX2/IntelDX4が販売されている。ODPは「既存の486CPUのアップグレード向け」というポジショニングがされたもので、例えば先に出てきたi486SXシステムの場合、i487SX用のソケットが用意されているので、ここに「ODP486DX2」(=i486DX2)とか「ODP486DX4」(=IntelDX4)を装着することで、「より快適に動作する」という触れ込みである。

 もっとも異なるのは商品名とパッケージのみで、内部はi486系ファミリーそのものであったので、ここでは割愛する。

今回のまとめ

・1971年の「i4004」から始まったインテルプロセッサーの歴史は、x86の基礎となり多くの互換品を生んだ「i8080」、16bit CPUの「i8086」などを経て拡大していく。

・1982年登場の「i80286」は、IBM PC/ATに搭載されて大ヒットとなる。一方で、同時期に登場した独自アーキテクチャーの「i432」は、多チップ構成で高速化も難しく、早々に消えていった。

・1985年の「i80386」で、現在まで続くx86命令の基本が整い、多くの派生品も登場して、x86の世界が広がる。高速動作を重視した続く「i486DX」では、キャッシュメモリーも内蔵されるようになった。

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