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まつもとあつしの「メディア維新を行く」 第7回

電子書籍への大転換は「ソーシャルな読書体験」から生まれる

2010年06月25日 09時00分更新

文● まつもとあつし

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「ソーシャル」ってそもそもなんだろう?

従来の読書は、本というパッケージとそれを主導する出版社に依存していたが、電子書籍以降は、パッケージへの依存や制約がなくなり、書籍はソーシャルメディアを通じて、コンテキスト(文脈)として消費される(図は佐々木俊尚氏の講演資料)

 前回のボイジャー萩野氏へのインタビュー中、私は「ソーシャルな読み方が求められる=だからフォーマットはオープンであるべきでは?」という質問を投げかけたが、読者の方から「なぜ唐突にこういう質問が出るのか?」という疑問をいただいた。

 「ソーシャルサービス」といえば、mixiやFacebookに代表されるSNS、そしてブログ、Twitterなどが思い浮かぶが、では「本のソーシャルな読み方」が可能になっていくとはどういうことなのだろうか? 近未来の読書のイメージを挙げてみよう。


 仕事帰りの電車の中で、いつものように電子書籍端末のスイッチを入れる。いまハマっている小説の続きを読むためだ。

 読書アプリを立ち上げる。

 このアプリは、実際の本文データはページをめくるたびにネットからその都度ダウンロードされるので、メモリを圧迫することもなく、どんどん本を読んでいくことができる。

 新しい章に読み進めたところ、ページの脇に「このページは○○さんも読みました」という表示が出てきた。同僚の彼女もこの本読んでいたんだ。ちょっと意外だ。

 感想コメントも登録されているようだけど、いま読んでしまうとネタバレが怖い。読了後にチェックして、明日話題にしてみよう。

 もう少しで、この作品も読み終わる。

 レビューボタンから簡単に評価や感想を投稿できるのが、このアプリの便利なところだ。関連性はもちろん、この評価情報を元に自分や知人・友人の間で評価の高い本をオススメしてくれるので、ついつい次のタイトルを購入してしまう……。

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