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編集者の眼第26回

Twitterは2次元、Facebookユーザーは3次元嗜好

2011年02月10日 17時00分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 アスキー総研と株式会社イードが共同で実施した「MCS(メディア&コンテンツ・サーベイ) 2011」によれば、Twitterユーザーは2次元嗜好、Facebookユーザーは3次元嗜好など、ソーシャルメディアのユーザーで好みに違いがあることがわかった。

 比較対象になったのは、「ソーシャルメディア」と言われるmixi、GREE、モバゲータウン、Twitter、Facebookの5サービス。各サービスのユーザーがどのようなメディア、コンテンツ、キャラクターを好んでいるか調べたところ、Twitterには「アイドルマスター」や「ラブプラス」が好きと答える「2次元」ユーザーが多く、Facebookには「アメリ」や「セックス・アンド・ザ・シティ」、「ナタリー・ポートマン」、「美少女図鑑」が好きと答える「3次元」ユーザーが多いことがわかった。

 さらにソーシャルメディアのユーザーをMCS 2011で見ると、「あー、わかる、わかる」という特徴が出る。ユーザーの絶対数が多いmixiは、他のソーシャルメディアと比較したときの特徴が出にくいが、「読んだコミック」で見ると、他に比べて「聖☆おにいさん」、「バクマン。」、「モテキ」、「僕等がいた」を好む傾向がある。ディープなマンガファンというよりは、不条理なギャグマンガとは対極にあるような、そのままドラマ化できるような作品が好きなのは30代の普通の女性、という印象だ。一方で、GREEは「瑛太」や「せんとくん」モバゲータウンは「新世紀エヴァンゲリオン/ヱヴァンゲリヲン新劇場版」や「マイメロディ」、「らき☆すた」を好んでいるようで、まとめて紹介されることの多いGREEとモバゲータウンの客層の違いが現れる。

 「メディア&コンテンツ・サーベイ」と聞くと仰々しいが、ようするに、どんなメディアやコンテンツと接しているかで日本人を理解しよう、ということ。すぐに思い浮かぶのは、「どんなアニメが好き?」という質問。初代「機動戦士ガンダム」と答えるのは40±5歳くらいの男性だろうし、「交響詩篇エウレカセブン」と答えるのは25±5歳くらいで、初代ガンダムよりは女性の比率も高いだろう。好きなミュージシャンは「エグザイル」で最近見た映画は「海猿」と聞くと、何となくどんな人か想像できてしまうのは、日本人が、消費するコンテンツでパーソナリティを認識しているからではないか。

 そういう意味で、MCSはマーケティングに新しい視点を加える。「女性、40代、独身、年収900万円」という従来型のプロファイリングは目黒あたりのスーパーの品揃えを考えるときには有効かもしれないが、映画のキャスティングをターゲットに合わせて決めるときには向いていなさそうだ。接しているメディアやコンテンツで日本人をより深く理解し、商品企画やプロモーションに応用できるのがMCSの強みだ。

 MCSは、従来、編集者が雑誌の企画会議で議論していたような方法論に近い。アスキー総研の遠藤所長は月刊アスキーの元編集長。遠藤所長の近著『ソーシャルネイティブの時代――ネットが生み出した新しい日本人』(アスキー新書、724円+税)では、MCSの豊富なデータから日本人の新しい姿が分析されている

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ソーシャルネイティブの時代 ネットが生み出した新しい日本人 (アスキー新書)

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