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ゼロからはじめるバックアップ入門 第4回

テープだけでも様々な種類が

バックアップに使うメディアはどう選ぶ?

2010年06月17日 09時00分更新

文● 伊藤玄蕃

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今回は、バックアップソフトと並ぶバックアップの構成要素の1つ、バックアップメディアについて解説する。この10年ほどの間に、バックアップメディアの顔ぶれは大幅に変わってきた。新旧交代の理由を考えながら、バックアップメディアの最新状況を眺めてみよう。

この10年で大容量化したバックアップに応えるメディア

 この連載で繰り返し指摘してきたが、ここ10年ほどの間にバックアップの要件は大きく変わっている。特にバックアップメディアに対して影響を与えたのは、HDDの大容量化である。もはや個人向けのパソコンにすら100GBを超えるディスクが搭載され、企業の部門サーバであればテラバイト級の容量も珍しくない。

 この容量のデータを、できれば1本(1枚)のメディアでバックアップしたい、それが無理ならオートチェンジャーを使って1回の操作でバックアップしたい、というのがユーザーやシステム管理者の要望である。この要望に応えられないメディアは、バックアップ用途には使えないのだ。

 また、大容量化に伴い、書き込み/読み出しの高速化も必要になる。バックアップ/リカバリの処理時間は短ければ短いほどよいので、対象データが増えるほどメディアの高速化の要求が高まってくる。

 あえて単純化すると、「一晩のうちに対象データをフルバックアップできること」が要求される。この要望に応えられないメディアもまた、バックアップ用途には使えないのである。これらの要件を頭に入れた上で、現在よく使われるバックアップメディアを見ていこう。

磁気テープ

 まず磁気テープから、現時点で主流となっている製品(規格)を紹介しよう。磁気テープは、記録容量の増加と書き込み速度の向上を狙って、新製品の開発や同一製品の世代交代(規格追加)が継続的に行なわれている。

派生規格の多いQIC/Travan/SLR

 QIC(Quarter-Inch Cartridge)は、1972年に米スリーエムが開発した1/4インチ幅(6.3mm)のテープを使用する2軸型の磁気テープ規格である(写真1)。米国では個人やSOHO向け小規模システムのバックアップメディアとして根強い人気がある。日本でも1980年代にNECなどのオフコンのバックアップ用メディアとして採用された実績はあるが、個人向けにはさほど普及しなかった。

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写真1 イメーションのQICデータカートリッジ「DC6150」。初期のものとは異なり、容量は150MBに増加している

 QICは企業向けと個人向けの双方で幅広く使われたため、多くの派生規格が生まれた。テープカートリッジの小型化を図ったMC(Mini Cartridge)、カートリッジサイズはMCと同じで8mm幅(0.315インチ)テープを使用し大容量化に対応したQIC-Wide(クイックワイド)、同じく8mm幅テープでMCよりカートリッジが若干大きいTravan、オリジナルのカートリッジサイズで大容量化を図ったSLR(Scalable Linear Recording)などが現在でも使われている(写真2)。

写真2 8mm幅テープを使うイメーションの「TRAVAN 40GB」。なお、イメーションは1996年にスリーエムから分社した企業だ

 現在の最大記録容量は、小型カートリッジのTravanで20GB(非圧縮時、以下同じ)、標準サイズのカートリッジのSLRで70GBだ(写真3)。どちらも他のテープ規格と比べて低容量であり、サーバ用途での利用は減っている。

写真3 非圧縮時で70GB、圧縮時で140GBとなる、イメーションのSLRデータカートリッジ「SLR140」

4mmテープを利用するDDS/DAT

 DDS(Digital Digital Data Storage)は、ソニーと米ヒューレット・パッカード(HP)がデジタル・オーディオ録音用のDAT(Digital Audio Tape)を基に開発した2軸型の磁気テープ規格で、一般にはDDSともDATとも呼ばれている。また、4mm幅(正確には3.8mm)の磁気テープをカートリッジに納めた形状であるため、「4mmデータ・カートリッジ」とも呼ばれる。

 1987年の開発当初の記録容量は1.3GBで、現在では記録容量が160GBの第7世代の規格まで発売されている(表1)。どの規格でも、圧縮技術により約2倍の記録が可能である。

表1 DDS/DATの規格
規格名記録容量非圧縮時の速度
非圧縮圧縮
DDS-11.3/2.0GB2.6/4.0GB0.6MB/s
DDS-24.0GB8.0GB0.6MB/s
DDS-312GB24GB1.1MB/s
DDS-420GB40GB2.4MB/s
DAT 7236GB72GB3.5MB/s
DAT 16080GB160GB6.9MB/s
DAT 320160GB320GB12.0MB/s

 2010年4月時点で国内販売されているドライブ装置は、DAT72・DAT160・DAT320の3種で、このうちテープカートリッジの容量単価がもっとも安いのは、DAT72である。また、DDS-4およびDDS-3のドライブ装置も依然として多く使われているため、この規格のカートリッジも継続して販売されている(写真4)。

写真4 容量36GBのDAT72メディア(イメーション)

 なお、どの規格のドライブ装置であっても、2世代前の規格のカートリッジを読み書きできることになっている。すなわち、DAT320規格のドライブ装置では、DAT320に加えてDAT160とDAT72規格のカートリッジを使用できる。ドライブ装置やカートリッジが比較的安価なため、部門向けサーバなど比較的小規模なシステムで導入されることが多い

(次ページ、「オープン仕様のLTO」に続く)


 

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