メディアごとの得意分野・不得意分野
連載第2回では、バックアップ要件ごとに各メディアの適・不適の比較を行なった。今回は切り口を変えて、バックアップメディアごとに得手・不得手な用途をまとめてみた(表4)。
用途 | 可搬型メディア | 固定型メディア | ||
---|---|---|---|---|
磁気テープ | 光学ディスク | 外付けHDD/ リムーバブルHDD | ストレージ装置 | |
システム全体のバックアップ /リカバリ | ◎ | × | ○ | ◎ |
ファイル単位でのバックアップ /リカバリ | △ | ○ | ◎ | ◎ |
長期にわたるバックアップ データの保管 | ○ | ◎ | △ | × |
遠隔地でのバックアップ データの保管 | ◎ | ◎ | ◎ | × |
コンプライアンス対応 | ○ | ◎ | × | × |
もっとも特徴的なのは光学ディスクで、HDDの大容量化により、サーバだけでなく個人用パソコンであってもシステム全体のバックアップが難しくなった。このため、光学メディアは劣化が少なく可搬性がありランダムアクセスが可能で、特にCD-RやDVD-RなどWORMに対応するメディアが安価という特徴を活かして、コンプライアンス目的での利用が増えていくだろう。
外付けHDDやリムーバブルHDDは、個人のPC程度であればシステム全体のバックアップを取るだけの容量がある。また、ファイル単位でのリカバリも最速である。以前は容量あたりの単価が高いことが普及を妨げていたが、ここ数年の価格急落に伴い、HDDは個人やSOHOでのバックアップメディアの主流となってきた。複数世代のデータバックアップが必要ならリムーバブルディスク、1~2世代程度のバックアップで十分なら外付けディスクという使い分けになるだろう。
エンタープライズ規模のシステムでは、バックアップデータの長期保管や災害復旧への対応が必要な場合には古典的な磁気テープ、迅速なバックアップ/リカバリが要求される場合には急速に普及してきたストレージ装置が適している。今後は両者を併用した、ハイブリッドなバックアップシステムが普及するだろう。
次回は、ストレージ装置を使ったバックアップについて説明する。
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