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SUPER GTに痛車が参戦! 初音ミク×GSRポルシェ密着レポート 第18回

GT決勝で奇蹟の追い上げを見せたミクポルシェ

2010年05月07日 22時05分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部 ●撮影/鉄谷康博、加藤智充、編集部

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ポルシェ得意の富士で
どこまで上り詰められるのか!?

 予選に引き続き(関連記事)、天候に恵まれた決勝日。富士スピードウェイという国内屈指のサーキットで、国内最速を決める戦いが始まった。

 レース前は、カレラカップジャパンやヴィッツカップといったサポートレース、サーキットサファリやピットウォークといったファン参加型のイベントも開催され、サーキットに詰めかけた約5万人のファンのテンションも徐々に上がり、あとは14時にスタート予定のSUPER GT 第3戦、決勝レースを待つばかり。

 今回は400kmとちょっとだけ走行距離が長い。いつもなら2時間ほどで終わるが、このレースでは3時間ほどかかる見込みだ。しかも、耐久というほど長い距離ではないので、スピードレンジはスプリントと変わらないレベル。言うなればロングスプリント。クルマもチームも、速さと耐久力の両方が求められるレースである。果たして、ミクポルシェはどのような戦いを見せてくれるのか。エヴァカローラとのバトルの行方は? そして、996 GT3 RSRは最後の勇姿を見せられるのか? あらゆる期待を一身に背負って、運命のローリングスタートが幕を開けた。

ミク覚醒! 強力なライバルたちを
次々とオーバーテイク! だが……

 12番グリッドからスタートしたミクポルシェ。シングル順位を狙うには十分な位置である。レース序盤は必ず混乱するので、その隙に乗じて上位陣に追いつくこともできる。応援シートも自然と盛り上がる。そんな期待に応えてか、ファーストドライバーである番場選手の怒濤の追い上げ、SBT(スーパー番場タイム)がいきなり炸裂した。なんと1周ごとに2台づつくらいオーバーテイクしていき、6周目にして5位まで上がったのだ! これには応援シートだけでなく、見ていたファン全員が興奮したはずだ。この間はずっとモニターに映し出されていたので、現地に来られなかった人もテレビの前で手に汗握っていたことだろう。公約通り、応援シートの目の前で2台一気にオーバーテイクしてくれた場面もあった。

 ある意味痛車仲間のマッハ号、猛牛・ガイヤルド、坂東組のウェッズスポーツIS350、ベテラン田中哲也が操るフェラーリF430、熟成に熟成を重ねた紫電、かつて“日本一速い男”と呼ばれた星野一義の息子、星野一樹が駆るフェアレディZ、そしてARTAのゴールデンコンビがステアリングを握るガライヤなどなど、SUPER GT界の常連・常勝マシンを、参戦初年度のミクポルシェが次々に抜いていったのである。奇蹟が起こった、としか言いようがなかった。予選日の帰り際、番場選手が冗談交じりに「1周につき2台抜きます!」と言っていたのだが、まさか公約が守られるとは!

 この時点で前を走るのは#74のカローラアクシオ。そう、前戦岡山で最後の最後にミクポルシェを抜いていったマシンである。因縁の対決が早くも展開されたのだ。ちなみに、ドライバーの井口選手はASCII.jp編集部にも訪れている(関連記事)。前を走る#74は若いながらもトヨタの期待を背負っている2人。そう簡単には抜かせてくれない。だが、ここは富士スピードウェイ。最高速に優れる“直線番長”のポルシェが有利だ。もし、#74を抜くことができれば、表彰台も視野に入ってくる。これにはチームスタッフもファンのみんなも、否が応にも期待が高まっていった。だが、そう簡単に微笑んでくれないのが、勝利の女神である。

 ――悪夢がミクポルシェを襲った。それは8周目に訪れた。#74とのバトルは熾烈を極めていたが、番場選手が1コーナーで仕掛け、ついに均衡が崩れた。多少強引ではあったものの、ノーズをインに入れることに成功し、ついに#74を抜いたのだ! これに沸き立つ応援シート。大型スクリーンにもそのオーバーテイクシーンは映し出されていた。だが、その直後、#74を抜いたミクポルシェは1コーナーでスピンしてしまう。しかもコース上でストップしてしまったため、安全上、すべてのクルマが通過しないと再スタートできない。残念ながらミクポルシェは4位から20位付近まで順位を落としてしまったのだった……。

これがスピンの瞬間だ!

 いつも撮影をお願いしているガチムチカメラマンの加藤氏が偶然現場に居合わせ、思わずシャッターを切った瞬間がこれだ。後方に迫る#74に対して、生放送の公約通り50メートル看板でフルブレーキングをしたミクポルシェ。しかし、その先はハンコックポルシェに追突するギリギリだった。これも攻めた結果。ひとつでも上の順位を狙おうとした結果である。COXの森氏が帰り際に「レースは本当に難しいね」と言っていたが、まさにその通りだ。コース上で止まったにもかかわらず、追突もマシンの破損もなく、無傷でレースに復帰できたのは不幸中の幸いだった。

(次ページへ続く)

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