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今さら聞けないSharePoint超入門 第6回

メールやファイルサーバーの問題点を解消しよう!

あるけど「ない」機能を使うSharePointのコラボレーション

2010年04月22日 09時00分更新

文● 村田聡一郎/リアルコム

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問題点1●メールは放っておけば必ずメール洪水を引き起こす

 メールの最大の問題点は、「メールはタダだ」という思いこみが横行していることにある。たしかに、メールは郵便と違って、何人に何本送っても配送料はかからない。送信側の手間はTOかCC欄にアドレスを追加するだけで、追加コストもない。

 それに「そんな話は聞いてない」と怒る上司はいても「メールを送るな」と怒る上司はなぜか少ないから、「念のためCC」を入れておくに越したことはない……。こうした結果、皆のメールボックスがメール洪水で溢れかえることになる。

 しかし本当は、メールはタダではない。非常に多くの人件費がかかっているのだ。2005年にリアルコムが大手企業20社を対象に行った調査では、1日の業務時間の8.9%がメールに費やされていた。2010年の現在、その割合はさらに増えているだろう。みなさん自身の感覚でも、就業時間の少なくとも1割くらいはメールの読み書きに使っているのではないだろうか。とくに時間単価の高い上位者ほどメールの量が多いから、この「メール処理コスト」はさらに高いものについている。

 「メールはさっさと捨てればよいのだから問題ない」という人もいる。しかし、「さっさと捨ててよいメールなのか、きちんと読むべきなのか」を判断するにも、時間と労力が必要だ。毎日100通も判断していたら、かなりの労力だ。さらに、大して重要でない大量のメールにまぎれて、本当に重要な情報まで見落としがちになる弊害もある。

 ちなみに、御社の全社員の総人件費のざっと1割は、いったいいくらだろうか。従業員数と適当な平均年俸を掛けあわせた概算でよいので、ぜひやってみていただきたい。簡単に億円あるいは数十億円という金額になるのではないだろうか。少なくとも、IT投資予算の総額をはるかに上回るはずだ。

 もちろん、メールは仕事上必要だからやっているのであって、すべてがムダというわけではない。しかし、「メールはタダだ」という思いこみによって、メールの量が必要以上に増えていないだろうか。なんらかの工夫によって、全社員がメール処理に費やしている時間の10%を削減できるとしたらどうだろうか。総人件費の1%あれば、SharePoint導入費用は軽々とまかなえるのではないだろうか。

 しかし、具体的にはどうしたらよいのだろう?問題は、「『ご参考程度』のCCメールと、『必読』のTOメールが同じメールボックスに同じ優先度で押し込まれる」状態を容認していることにある。しかし「CCでメールを送るな」と叫んだところで無駄だ。各自、自分の仕事をしているつもりなのだから……。

 そのため、メールの削減には、「ご参考程度の情報」をメールボックスから排除しつつ、必要があればその情報は見にいける状態を提供する必要がある。それがチームサイトなのだ。

洪水を起こすメールから、必要な情報を共有するチームサイトへ

解決策1●チームでの情報共有は、メールではなくSharePointのチームサイトを使う。

 たとえばとある企業の営業三課では、課員用のチームサイトを作り、日報は課長にメールで送るかわりに、チームサイトにアップすることにした。こうすれば課長のメールボックスがあふれることもないし、他のメンバーの日報情報を読んで参考にすることもできる。もちろん課長の上司である部長も、必要があれば各メンバーの日報にまでアクセスして詳細を把握することが可能だ。メールではこうはいかない。

 また必要に応じて「通知メール」をセットすれば、サイトの更新をプッシュで随時受け取ることもできるので、メールのリアルタイム性を失うこともない。さらにSharePointでは「タスクリスト」や「予定表」などの構造化データも扱えるので、情報をより適した形で共有できる。

 次回は、「5つの問題点とその解決策」の2~5つ目を紹介する。「メールとファイルサーバーの弊害」と、それを解決するSharePointの機能を見ていこう。

筆者紹介:村田聡一郎(むらた そういちろう)


 
 リアルコム株式会社 執行役員コンサルティンググループ担当/BP研究会担当
外資系大手IT企業、米国本社駐在を経て2002年リアルコム入社。ユーザー視点に立った「仕事が楽しく、楽になる情報共有」を推進している。米国ライス大学MBA。


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