メールやファイルサーバーの問題点を解消しよう!
あるけど「ない」機能を使うSharePointのコラボレーション
2010年04月22日 09時00分更新
これまでに「ポータル」「データストア(リストとライブラリ)」「アプリケーション開発」「ワークフローとアドオン」と取り上げてきて、「ポータル系」の用途はほぼカバーしてきた。そこで今回は、SharePointの「コラボレーション系」用途を取り上げていきたい。具体的には、SharePoint用語で「チームサイト」と呼ばれているものだ。
「チームサイトという機能」は存在しない?
まず、SharePoint上で作成したデフォルトのチームサイトのイメージを見てみよう。
このようにチームサイトは存在する。しかし「チームサイトという機能」は存在しない。SharePointのサイトを新しく作る時は、まず「サイトテンプレート」の中から1つを選んでサイトという「枠」を作り、次に必要に応じて枠の中にリストやライブラリといった「中身」を組み込んでいく。
このサイトテンプレートには、
- チームサイト
- 空のサイト
- ドキュメントワークスペース
- Wikiサイト
などいくつかの種類があるが、この中でチームサイトとは、空のサイトにグループでの協働作業によく使われそうなリストやライブラリがデフォルトで組み込んであるにすぎない。つまり、「チームサイト」固有の機能はない。
では、一般には何をもって「チームサイト」と呼ぶのか?「ポータル」との違いは何なのか?それは、SharePointという製品側の話ではなく、サイトの使い方(ユーザーへの使わせ方)の違いにある。
ポータル系用途とコラボレーション系用途
SharePointの「ポータル系」用途と「コラボレーション系」用途についての明確な定義が一般に存在しているわけではないが、筆者は以下のように定義している。
- 「ポータル系」用途とは、情報の出し手(発信者)と受け手(受信者)が分かれている使い方
- 「コラボレーション系」用途とは、情報の出し手と受け手が明確に分かれていない使い方
少々おおざっぱな例だが、ポータル系は「テレビ放送」でコラボレーション系は「電話」、と説明するとイメージを共有していただけるだろうか。どちらも広い意味でのコミュニケーションだが、実態はかなり異なる。
BP研究会のグループディスカッションや懇親会の場で話題になるのは、決まってコラボレーション系用途の話である。それだけ、SharePoint企画・推進担当者にとっての悩みは深いのだろう。ポータル系については「すでにある程度形ができ、片付いてしまっているから」という事情もあるだろうが、それだけではない。
ポータルは情報の「発信者」つまりコーポレート部門など社員の一部さえ動かせれば、とりあえず形はできる。しかもコーポレート部門にとっては全社員への情報発信は彼らの「本業」の一部なので、やり方さえ教えればあとはそれなりにやってくれる。一方、コラボレーション系はそうはいかない。全社員、つまりユーザーひとりひとりがその使い方を覚え、日々の仕事でそれを効果的に活用してくれないことには、効果はゼロだからだ。
チームサイト、つまりSharePointの「コラボレーション系」用途が大きな話題になるのは、それが単なるITツールの話ではなく、「全社員にそのメリットを伝え、教育・啓蒙して、日々の仕事で有効に使ってもらえるか?」を考えなくてはならないからだ。これは確かに大仕事である。
メールとファイルサーバーの弊害
現在、PCを介したコラボレーション(協働作業)をおもに担っているのは、「メール」と「ファイルサーバー」であろう。どちらも、シンプルかつベーシックな情報共有ツールとして、使い方が分からない社員はほぼいないほどに普及している。
ところが、そのメールとファイルサーバーこそが、社員の生産性を大きく阻害する「オフィスワークのガン」となっているのだ。
このことについては、実は1年目社員から役員までほぼすべてのオフィスワーカーが「何かおかしい」と感じているはずだ。しかし、それを意識して対応策を始めている企業(あるいは人)は、まだ多くないのが実情である。
ではここで、メールとファイルサーバーの問題点を整理しつつ、それをチームサイト導入でどう解決するのか、5つの問題点とその解決策を見ていこう。
(次ページ、「問題点1●メールは放っておけば必ずメール洪水を引き起こす」に続く)
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