パナソニックが提唱するABCDE戦略とは?
三洋電機とのシナジー効果が、最も発揮されるのは、エナジー領域である。
大坪社長は、「パナソニックは、くらしに関連したエレクトロニクス事業の領域において、幅広い商品群、先端技術を展開してきた経緯があり、さらにグローバルな形で、販売プラットフォームをはじめとする経営インフラを持つ。これに、太陽電池や二次電池のキープレーヤーであり、業務用機器やデバイスにおいて強い事業を有している三洋電機が加わることで、グループとして、くらし関連の領域で、一層の広がりと深みが持てるようになる。このポンテシャルを生かして、シナジーの最大化に取り組む」と語る。
パナソニックは、これまでABCD(A=アプライアンス、B=ブラックボックスデバイス、C=カーエレクトロニクス、D=デジタルAVネットワークス)の4つの領域を主要事業分野としてきたが、三洋電機をグループに迎え、新たにE(E=エナジー)を加えた、ABCDEの5つを重点事業に掲げなおした。
ここからもエナジー事業が、三洋電機とのシナジー効果が最も発揮される分野とされていることが裏づけられる。
実際、エナジーシステム事業については、「フラッグシップの事業に成長させる」と大坪社長自らが宣言し、2018年度には3兆円以上の事業規模を目指すことを示した。これは、グループ売り上げ全体の約3割を占める事業規模になる。
「他社にできない家・ビルまるごとのエナジーソリューション事業を推進できる体制が整った。個々の家やビルだけに留まらず、街区や地域へと拡大し、コミュニティグリッドの構築にもつなげていく」と、地域全体を結んだエナジーソリューションの提供へと踏み出していくことを示す。
大坪社長は、エナジーシステム事業に関して、すでにいくつかの具体的領域を示している。そのひとつが、太陽電池事業である。
「業界最高水準の三洋電機の技術力と、パナソニックおよびパナソニック電工の販売チャネル、エネルギーマネジメント技術、建材・電材技術などを掛け合わせることで事業を拡大する。三洋電機が展開しているHIT太陽電池の増産のために、2015年度までに1000億円規模の戦略投資を行う」とし、「2012年度には太陽電池事業において国内市場でナンバーワンシェア、2015年度にはグローバルトップ5入りを目指す」と力強く宣言した。
この連載の記事
-
第35回
ビジネス
首位を狙わないキヤノンのミラーレス戦略 -
第34回
ビジネス
NEC PCとレノボの合弁はなぜ成功したのか? -
第33回
ビジネス
シャープ復活の狼煙、その切り札となるIGZO技術とは? -
第33回
ビジネス
任天堂はゲーム人口拡大の主役に返り咲けるのか? -
第32回
ビジネス
日本IBMの突然の社長交代にみる真の狙いとは? -
第31回
ビジネス
脱ガラパゴス? 国内TOPのシャープが目指す世界戦略 -
第30回
ビジネス
これまでの常識が通じないAndroid時代のインフラ開発 -
第29回
ビジネス
ビッグデータは我々になにをもたらすのか? -
第28回
ビジネス
Macの修理を支える、老舗保守ベンダーが持つ“2つの強み” -
第27回
ビジネス
スマホ時代に真価を発揮する、多層基板技術ALIVHとは? -
第26回
ビジネス
富士通が「出雲モデル」「伊達モデル」を打ち出したこだわりとは - この連載の一覧へ