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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第6回

三洋電機買収でパナソニックが進める、ABCDE戦略とは?

2010年02月01日 09時00分更新

文● 大河原克行

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パナソニックが提唱するABCDE戦略とは?

 三洋電機とのシナジー効果が、最も発揮されるのは、エナジー領域である。

 大坪社長は、「パナソニックは、くらしに関連したエレクトロニクス事業の領域において、幅広い商品群、先端技術を展開してきた経緯があり、さらにグローバルな形で、販売プラットフォームをはじめとする経営インフラを持つ。これに、太陽電池や二次電池のキープレーヤーであり、業務用機器やデバイスにおいて強い事業を有している三洋電機が加わることで、グループとして、くらし関連の領域で、一層の広がりと深みが持てるようになる。このポンテシャルを生かして、シナジーの最大化に取り組む」と語る。

従来から取り組んできたABCDの事業にE(エナジー)を加えた、5つの柱が提示された

 パナソニックは、これまでABCD(A=アプライアンス、B=ブラックボックスデバイス、C=カーエレクトロニクス、D=デジタルAVネットワークス)の4つの領域を主要事業分野としてきたが、三洋電機をグループに迎え、新たにE(E=エナジー)を加えた、ABCDEの5つを重点事業に掲げなおした。

 ここからもエナジー事業が、三洋電機とのシナジー効果が最も発揮される分野とされていることが裏づけられる。

 実際、エナジーシステム事業については、「フラッグシップの事業に成長させる」と大坪社長自らが宣言し、2018年度には3兆円以上の事業規模を目指すことを示した。これは、グループ売り上げ全体の約3割を占める事業規模になる。

 「他社にできない家・ビルまるごとのエナジーソリューション事業を推進できる体制が整った。個々の家やビルだけに留まらず、街区や地域へと拡大し、コミュニティグリッドの構築にもつなげていく」と、地域全体を結んだエナジーソリューションの提供へと踏み出していくことを示す。

両社のシナジーを発揮し、家やビルを丸ごと面倒みられるトータルのソリューションを強化していく

 大坪社長は、エナジーシステム事業に関して、すでにいくつかの具体的領域を示している。そのひとつが、太陽電池事業である。

 「業界最高水準の三洋電機の技術力と、パナソニックおよびパナソニック電工の販売チャネル、エネルギーマネジメント技術、建材・電材技術などを掛け合わせることで事業を拡大する。三洋電機が展開しているHIT太陽電池の増産のために、2015年度までに1000億円規模の戦略投資を行う」とし、「2012年度には太陽電池事業において国内市場でナンバーワンシェア、2015年度にはグローバルトップ5入りを目指す」と力強く宣言した。

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