2009年12月21日付けで、三洋電機を子会社化したパナソニック。今年1月、パナソニックの大坪文雄社長は、「三洋電機を加えた『新パナソニックグループ』として、2018年度の創業100周年に向け、エレクトロニクスNo.1の環境革新企業」を目指すと宣言した。
三洋電機を子会社化したことで、パナソニックはどんな企業へと進化するのだろうか。
パナソニックは、2008年11月に、三洋電機の子会社化を発表して以来、2009年12月に買収を完了するまで、予想以上に長い年月を費やしてきた。最大の要因は、中国、米国などにおける独占禁止法当局の審査が長期化したことにある。
パナソニックの大坪社長は、「独禁法当局が詳細な項目で、どこまで審査するのかをすべてを想定していたわけではないが、簡単に行くとは思わないとは考えていた」とし、長期化することはある程度視野に入れていたようだ。
だが、それは予想以上に困難を極めた。結果として、TOB(公開株式買付け)開始を前に、米国連邦取引委員会、中国商務部、欧州委員会の指摘に対応。三洋電機の民生用ニッケル水素電池の事業を行っている三洋エナジートワイセル株式会社の全株式および、円筒型二酸化マンガンリチウム電池、コイン型二次電池事業を行っている三洋電機エナジー鳥取の全株式を、富士通グループのFDKに売却するなどの措置を行わざるを得なかったからだ。
この措置を受けて、三洋電機の主要株主であったゴールドマン・サックスグループのオーシャンズ・ホールディングス、三井住友銀行、大和SMBCの子会社であるエボリューション・インベストメンツの金融3社が、保有していた優先株式をTOBに応募。これにより、パナソニックは、三洋電機の株式の50.13%分を、12月21日に取得し、子会社化。新パナソニックグループが本格的にスタートしたのだ。
12月21日以降、両社にはコラボレーション委員会が設置され、重複事業の調整やシナジーの追求に向けた検討が始まっている。具体的な事業計画については、同委員会からの報告取りまとめ、今年4月にも発表されることになる。

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