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行っとけ! Ubuntu道場! 第10回

~師範! Ubuntuってどんな風に開発されてるんですか?~

2009年12月24日 16時00分更新

文● hito(Ubuntu Japanese Team) イラスト●瀬尾浩史

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エライ人の妄想から開発がスタート!?

hito:では再びそこの名古屋人、Ubuntuの開発の流れを説明してください。

ミズノ:再びメンバーとしての資質が試されている!

村田:ええと、まずは、マーク・シャトルワースが数ある候補の中からコードネームを独断で決めてですねぇ。

編集S:独断!?

小林:独断と言ってしまうと微妙な部分がありますが、マークさんが発表するまでは確定しない、というのは事実ですね。

村田:んで、そっからはどうでしたっけミズノさん。

ミズノ:えらい人が妄想というか大風呂敷をひろげます。で、それを「Blueprint」という「こういうこと実現します」リストにした上で、コア開発者とかが集まるUbuntu Developer Summit(UDS)である程度現実的なところに落とし込み……あれ、落とし込んでますか?

hito:むしろ加速してますね。

瀬尾浩史:なんかこれ無理ペン! 死んでしまうペン! みたいな機能でもリリース時には入ってますよね。

ミズノ:まぁ人間、努力すれば何とかなるんですよきっと。

編集S:じゃーセオペンせんせーもそういうスケジュールで。

瀬尾浩史:無理ペン! 人間には可能かもしれないけど、ペンギンには無理なのペン!

編集S:ち、都合のいいときだけペンギンに戻りやがる。

あわしろいくや:「化ける」んじゃなく「戻る」んですね……。

村田:UDSって、誰でも参加できるんですか?

hito:英語がしゃべれて、Ubuntuの開発に関与してて、審査に通れば直接参加できますね。開発者が参加する場合は、Canonicalから旅費の補助が出ます。

あわしろいくや:直接参加できなくても、オンラインで色々情報はとれますな。議論の土台になるプレゼンは後で公開されますし。

村田:あれ見るのが結構大変ですよね。実際に参加するともっと大変そう。

hito:あとは、参加者のリストを見ると「Ubuntuの今後の動向」がちょっと見えるかもしれません。前からGoogleのUbuntu関連ソフトウェアの中の人が参加してるなーと思ってたら、なんかChrome OSのコアはCanonicalが関わってるよみたいな展開が起こったりしますしね。

11月19日付のCanonicalのブログ「Google Chrome OS and Canonical」には「Canonicalは契約に基づきGoogleのエンジニアリングに貢献しています」とハッキリ書かれてたりする。ChromeとUbuntuには深ーい関係があるわけだ

ミズノ:で、UDSが終わったら続々とBlueprintsに結果が書き込まれてですねぇ。

小林:この段階で「実装されるかもしれない機能」が見えてくるわけですね。

やまね:中には力及ばず延期、みたいなものもある?

ミズノ:ありますね。「開発の進み具合が良くないので次のリリースまで延期」とか、「kernelのこのバグ直さないと使い物にならないので、直るまで一時保留」とかは良くあります。

あわしろいくや:この機能の中で、特に重要なものがFoundation Teamに割り振られて開発が進められるわけですな。

hito:このあたりはCanonicalの人たちが頑張って作業するよ、という感じですね。あとはARM関連とかでは良くあるんですが、ハードウェアメーカーと協力して、プロトタイプを使った開発もこのあたりから始まります。

編集S:10.04ではSmartBook関連に期待してるんですけど、どんなwktkなものが出てくるんでしょ?

小林:9.10でもリリースされていますが、Marvellの「Dove」採用品は出てくると期待したいですね。

MarvellのARMADA(開発名:Dove http://www.marvell.com/armada/)。ARMv7互換のARMADA510を載せたUbuntuスマートブックが出てくる可能性大!

瀬尾浩史:なるほどなのペン。で、Blueprintsの次にDebian Import Freezeで、このタイミングのsidのコピーがuniverseになるペン?

hito:おおむねそんな感じですが、完全に止まるわけではないですね。さっきの会話でもありましたが、「問題のない状態」にする作業が残っているので。

ミズノ:Debianでsidからtestingやstableが作られるのと同じようなプロセスで、universeでも「それなり」に叩きだしが行なわれるんですよね。

あわしろいくや:たまに誰もテストしてないからリリースするまでバグに気づかなかった系の問題もある、ってのは仕方ないですな。

小林:sidで直っているケースであれば、パッチをバックポートして直せるので、バグの報告の仕方を学んで自分で直したり、パッケージの作り方を学んで自分で直してみたりしてほしいですね。

村田:このDebian Import Freeze、Universeのパッケージを使ってる人にはなにげに重要ですよね。Ubuntuに搭載されるパッケージのバージョンが決まるのと一緒。

hito:かも。ただ、新しいバージョンが欲しければsync要求(新しいバージョンを採用するように依頼する)を出してみる、というのも考えて欲しいなーと。

あわしろいくや:で、この後はひたすら開発が進められていって、機能が搭載されたりされなかったり、アルファとかベータとかリリース候補版でバグを叩きだしながら完成に近づいていく、という感じですな。

編集S:ふむー。アルファとかベータの途中で機能が追加されていくのが割と楽しいんですが、裏では開発者の皆さんが血を吐きそうな仕事をしてくれてるんですねー。

村田:雑誌と一緒ですね。

編集S:ライターさんと編集者が血を吐きながら原稿を書いて、徹夜して編集作業をするから本屋さんに雑誌が並ぶんです!

瀬尾浩史:イラストレーターとか漫画家も忘れないでほしいペン!

編集S:すまん、スッパリ忘れておった。


(次ページへ続く)

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