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クラウドとデスクトップ仮想化にも力を注ぐ

仮想化の祭典「VMWorld 2009」を凝縮レポート

2009年09月11日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ヴイエムウェアは、8月31日~9月3日に米国カリフォルニアで行なわれた仮想化関連イベント「VMworld 2009」の内容を説明する報道陣向けイベントを開催したまた、10月に国内でも「VMware Virtualization Forum 2009」が開催されることが発表された。

クラウド同士をつなぐための
あの手この手

 4日間に渡って行なわれた今年のVMworld 2009は、スポンサー200社、セッション数300以上で、来場者数も1万2500人以上を記録したという。プレス発表も、統合管理を実現する「VMware vCenter」の詳細、販売拡大に向けたインテルとの提携、デスクトップ仮想化を実現する「VMware View」のデル製品へのバンドル、仮想化導入を容易に行なう新サービス「VMware Go」など、多岐に渡っている。

ヴイエムウェア株式会社テクニカルアライアンスマネージャの名倉丈雄氏

 9月10日に日本で行なわれたVMworldアップデートでは、説明資料だけでも88ページにおよぶ膨大な内容をヴイエムウェア株式会社テクニカルアライアンスマネージャの名倉丈雄氏が説明。本稿では、このうちクラウドとデスクトップ仮想化に焦点を当てる。

 VMware vSphereは、物理サーバやストレージにひも付けられているOSやアプリケーションを開放し、シンプルなITを実現するという目的を持つ。同社はVMwareで仮想化されたサーバ群を従来から「ソフトウェアメインフレーム」と呼んでいるが、これはまさに現在の「クラウド」や「ジャイアントコンピュータ」といった概念に当たる。VMware vSphereによりデータセンター自体を仮想化することでクラウドを構築。さらに内部/外部のクラウド同士を連携させ、より大型なクラウズ(複数形)にしていくのが「VMware vCloudイニシアティブ」という業界プロジェクトだ。VMware vCloudイニシアティブには、すでにAT&Tやサヴィス、テレマーク、ベライゾンビジネスなど、すでに1000社を超えるプロバイダが参画しており、一部は実際のVMwareベースのクラウドサービスを提供している。

クラウド同士を相互接続するVMware vCloudの概念図

 また、新サービスの「VMware vCloud Express」というサービスを用いることで、従量制のインフラサービスがオンデマンドで提供できるという。さらにクラウド間の相互接続を実現するvCloud APIの利用促進を図っていくため、APIの仕様自体を業界団体のDMTF(Distributed Management Task Force)に提出したことも明らかにされた。こうした技術面、製品面、パートナーシップ面などでの取り組みの結果として、グリーン重視、セキュリティフォーカス、開発向けなど用途に合わせて異なったスペックを持つクラウドを連携する環境が構築されるという。

シスコスイッチと連携し、遠隔でのVMotion実験も行なわれた

 サーバの仮想化に関しては、ノンストップで仮想マシンを物理サーバ間で移動させるVMotionの拡張についても言及された。物理サーバの障壁を取り払うVMotionは非常に広範に使われており、2006年にはストレージ版のVMotion、そして2009年にはネットワーク版のVMotionを発表している。加えて、今回は遠隔にあるデータセンター同士で仮想マシンを移行する遠隔VMotionのデモも行なわれたという。実験では200km間離れたデータセンター間の仮想マシンの移動をシスコスイッチとの連携で実現したという。

従業員に
仮想デスクトップを渡す会社が増えている

デスクトップの仮想化はOS、アプリケーション、ユーザープロファイルの3つの仮想化技術の組み合わせで実現

 VMware Viewを中心とするデスクトップの仮想化は、現在同社がもっとも力を入れている部分の1つ。仮想化されたOS上に昨年発表した「VMware ThinApp」を使ったアプリケーションを載せ、さらにユーザーごとのプロファイルに関しては、RTOソフトウェアの技術を用いたバーチャルプロファイルを利用するという。

 さらに同社が「PCoIP(PC Experience over IP)」と呼ぶシンクライアント技術に関しては、メールやWebをメインに使うホワイトカラーの従業員に加え、CADやオフィススイートを用いるヘビーユーザーも想定している。後者のヘビーユーザーに関しては、グラフィック性能などを向上するためのハードウェアアクセラレーションへの対応も予定。また、ホストOSを必要としない「ベアメタル仮想化」をデスクトップ分野でも推進する。さらにスマートフォンなどモバイル対応も進めていき、デバイスに依存せず、さまざまなアプリケーションを利用できる環境の構築を目指すという。

 こうしたデスクトップの仮想化が進むことにより、PC自体はユーザーの所有で、業務環境を仮想デスクトップとして会社が貸し出すという形態も米国では増えているという。

 なお、ヴイエムウェアの最新技術や製品に関しては、10月20日・21日に都内で開催される「VMware Virtualizetion Forum 2009」で披露されるという。

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