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TECH担当者のIT業界物見遊山 第8回

仮想化技術が改めて注目された2009年

「仮想化したマシン、貸そうか?」が実現する世界

2009年12月15日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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物理サーバー上に複数の仮想サーバーを統合することで、コスト削減や管理の効率化するサーバーの仮想化。この仮想化が、いよいよデスクトップにも進出しつつある。今年は改めて「かそうか」に大きな焦点が当たった1年だった。

仮想化はサーバーからデスクトップへ

 「仮想化したマシン、貸そうか?」とやさしい声をかけてくれる事業者が増えている。サーバーをCPU単位で貸してくれ、処理負荷に応じて、オンデマンドでリソースを増強してくれる。流行の言葉でいえば、おそらくIaaS(Infrastracture as a Service)と呼ばれるサービスの事業者だ。

 ご存じのとおり、ホスティング事業への仮想化技術の導入は、かなり古い。数百台・数千台のサーバーを扱うホスティング事業者にとってみれば、仮想化のメリットはそのまま事業運営の効率化を意味する。サーバー機自体の集約、管理の効率化、電力消費やケーブルの削減、柔軟なリソースの拡張などなど。「物理対仮想が1対1でも、仮想化するメリットがある」と話す事業者すらいた。こうしたなか、クラウドコンピューティングが時代のキーワードとしてもてはやされ、アウトソーシングの隆盛、グリーンITの取り組みを実現する手段として、今年は仮想化にグッとフォーカスが当たった年といえる。

 そして、こうしたサービスを提供する事業者だけではなく、同僚すら「仮想化したマシン、貸そうか?」と言ってくれる時代が来る。ご存じ、デスクトップの仮想化である。マシンを忘れても大丈夫。親切な同僚から仮想化したマシンさえ借りれば、自分のOSも、プロファイルも、データもネットワーク経由で持ってこれる。

 果たしてデスクトップの仮想化は必要なのだろうか?と懐疑的だった私に「なるほど!これはいいかも」と思わせてくれたのが、VM Worldの説明会で披露されたクライアントハイパーバイザ上に自身の仮想マシンを載せるという例である。新入社員は空のマシンと仮想マシンのアドレス、アカウントだけを渡される。だが、そのアドレスにアクセスし、アカウントでログインすると、自動的に自分の仮想マシンがロードされるというわけだ。ユーザーは出張先でも、自宅でも、自らの仮想マシンを簡単に呼び出し、いつでも仕事ができる。仮想マシンならではの可搬性は、クライアントであっても大きなメリットを得られるわけだ。

 こうした環境の構築を考えると、たとえばシスコの言っている「ボーダレスネットワーク」という構想は、どこからでも仮想マシンを呼び出すためには重要になってくるし、WAN高速化を手がけるリバーベッドが「クラウド環境を高速化しますよ」と語るのも理解できる。ハイパーバイザ上で動作する仮想アプライアンスが次々と登場しており、いろんな技術はまさに仮想化前提に動きつつあるのだ。

 ちなみにタイトルは、私のネタではない。編集部を氷点下に突き落とすようなオヤジギャグをSkype上にまで展開するASCII.technologies編集長の持ちネタでもない。以前、ASCII.technologiesのI君がサン・マイクロシステムズの講演で聴いたフレーズだそうだ。そういえば、オラクル買収後サンの仮想化事業はどうなるのだろうか?

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