日本ヒューレット・パッカードは4日、同社のワークステーション「Zシリーズ」に、水冷システム搭載モデルを追加すると発表した。8月24日に受注開始し、8月下旬から9月上旬に出荷される見込み。
4月に発表された「HP Z Workstation」のCTOオプションとして提供される。選択可能になるのは、Z400シリーズおよびZ800シリーズで、130W以上のTDPを持つXeonプロセッサー(Xeon W3520/W3580/W5590)を搭載したモデル。Z400はシングルプロセッサー構成のみ、Z800はデュアルプロセッサー構成のみで水冷システムが選べる。なお、スリム筐体でデュアルプロセッサー構成が選べる、Z600は含まれない。
水冷にした場合の価格は同一構成の空冷モデル+5000円とのこと。最小構成時の価格は、Xeon W3520搭載のHP Z400/CT Workstationの場合で17万1150円となる。なお、上位モデルのHP Z800はデュアルXeonのハイエンド構成のみが対応し、68万6700円からとなる。
導入の利点としては、冷却効率の改善と騒音の低減などが挙げられる。Z400の場合、アイドル時/高負荷時の動作音は、空冷がそれぞれ23dB/27dBなのに対し、水冷では23dB/24dBと騒音レベルが低減。Z800ではさらに効果が大きく、23dB/38dBが22dB/30dBに改善されるという。
通常のワークステーションの動作音は30~40dBぐらいと言われているので、その効果が分かるだろう。
また性能面では、Xeonプロセッサーにはターボ・ブーストと呼ばれる自動オーバークロック機能が内蔵されている。CPUの温度を見ながらクロック周波数を向上していく機能で、冷却が効果的ならば、その分だけパフォーマンス的にも有利となる。
同社の実験では、室温28度でCPUの負荷を高め、内部を60℃を超す温度にまで高めた際、筐体内の温度が水冷では3~5秒と短時間に50℃まで落ちた。これは空冷の1/7~1/8の水準だという。さらにCPUの動作クロックも空冷が3.2GHzだったのに対して3.33GHzと若干高速な状態の結果だったという。これらの点を踏まえ、同社では、130W以上のCPU、SATA HDD、96GB未満のメモリー容量を搭載した場合などに水冷システムが有効だとしている。