クラウドサービスといえるGoogle App Engine
Googleでは、Google AppsはSoftware As a Service(SaaS)で、Google App Engineがクラウドサービスという位置づけのようだ。
クラウドサービスである「Google App Engine」は、Googleが持つ膨大なサーバーを特定のプログラミング環境を使って利用できるものだ。つまり、ユーザーが、プログラミングすれば、Googleのサーバーを使って、新しいサービスを構築できる。
Googleの技術者向けビデオ「Google App Engine - Early Look at Java Language Support」(英語)
クラウドサービスの特徴は、低価格で巨大なサーバーのコンピューティングパワーが提供されていることだ。このため、ユーザーは規模に応じたシステムを短期間で入手できる。また、規模が大きくなれば、サーバーのスケールアウト機能を利用して、コンピューティングパワーをすぐに追加できる。さらに、必要がなくなった時点で、追加したコンピューティングパワーを削減して、元の規模に戻すこともできてしまう。このように、利用状況に応じたコンピューティングがクラウドによって実現される。
現在、Google App Engineは無料でサービスを公開しており、PythonやJavaを使ってサービスの開発が行なえるようになっている。それだけではなく、追加のリソースを有償で追加できるようになった(0.1ドル/時間で1CPUコアの追加、1GBあたり0.15ドルでストレージの追加などができる)。
ただ、クラウドサービスの分野では、先行しているアマゾンのEC2が本格的な有償サービスを提供しており、EC2を利用した様々なサービスも、すでに開発されている。
一方のGoogle App Engineは、現状では無償サービスのため、開発者向けに提供されているものだ。まだ、ビジネスベースのサービスとは言い難い。現状では、多くの開発者にGoogle App Engineベースのサービスを開発してもらうことと、Google App Engine自体のインフラや開発環境の整備が中心といえる。
Google App Engineを企業がクラウドサービスとして利用するには、まだいくつかのサービスが用意されるべきだ。分散ファイルシステムやデータストレージシステムは用意されているが、一般的なデータベースサービスは用意されていないといった具合だ。このため、企業が社内で利用するサービスを構築するのは難しそうだ。
ただ、Google App Engineは、クラウドサービスのため、他のクラウドサービスと連携して動作するシステムを構築することもできる。社内にCRMやECシステムを構築するのは難しそうだが、企業が一般ユーザーに向けた新たなサービスを構築するには適しているかもしれない。
Googleの企業向けのサービスを見ていると、企業向けに開発されたというよりも、一般向けに作られ、ブラッシュアップされたサービスを切り出して企業向けに提供しているというイメージが強い。今後、Googleが本格的に企業向けにサービスを提供していくには、大幅に組織や開発手法を変更する必要があるように思える。
ただ、Gmailなどの電子メールやコミュニケーション関連のツールなどは、企業内でも十分に利用できるレベルになっている。今後、新しいコミュニケーションツールのGoogle WaveやGoogle Voice(電話サービス)などは、企業においても大きなメリットになる可能性が高い。企業としては、どんなモノでも、Google Appsを利用するのではなく、使いやすいサービスだけを選択して利用した方がいいだろう。
できれば、Google Appsとして、すべてのサービスを一括提供するのではなく、GmailやGoogleドキュメントなど、サービスごとに利用料金が提供されていれば、より低コストで利用できるようになるのかもしれない。
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